再依頼

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「ジャバウォックを森に転送したのは貴方達?」 「だったらどうした?」 よく見ると、青黒い肌……魔族か。 「理由があっての事だろうけど……見逃せないわね」 「ケッ!俺らとやり合おうってのか?」 「場合によってはね」 「満身創痍の癖に、口だけは達者のようだな!」 「私は満身創痍に近いかもね……けど……」 「他の奴らなら何とか出来るってか?はっ!笑わせんな!」 そう言って、魔族の一人が私に突っ込んできた……が。 「甘い!」 魔気を込めた一撃を、奴の鳩尾にお見舞いしながら躱す。 「ぐぉ!?」 予期せぬ一撃に、突っ込んで来た魔族が(うずくま)る。 「満身創痍と思うなかれ……よ!」 「ちっ!ガロン!やれ!」 蹲って無い方は、ガロンと言うらしい。 「わかった!ゼロン!」 蹲っている方は、ゼロンと言うらしい。 ❮闇の刃~ダーク・カッター~❯ ガロンが、黒い刃を私に飛ばして来た。 ❮光の壁(Wall of light)!❯ ラミアちゃんの魔法がそれを防ぎ、セシル先生がガロンに突っ込む。 「覇王裂炎掌(はおうれつえんしょう)!」 「ぐがっ!!」 セシル先生の渾身の一撃が、ガロンの鳩尾を襲う。 と同時に、カールが間合いを詰めて炎の剣をガロンに叩きつける。 「ぐがぁっ!!」 「ガロン!!」 蹲っていたゼロンが、ガロンに向かって駆け寄るが……。 「魔波疾風脚(しっぷうきゃく)!」 「がはっ!!」 私の技がそれを阻む。魔族相手にここまでボコボコにできるとは、夢にも思わなかった。 「ち……くしょう……」 「さて……ジャバウォックをここに転送した目的は?」 「言わん……ぐふ!」 私はゼロンを踏みつけた。 セシル先生は、ガロンを取り押さえ、それをラミアちゃんとカールが何処からともなく取り出したロープで縛る。 「もう一度聞くわ…目的は?」 「言わ……ぐふ!!」 また踏みつけた。 「口が堅いのか、単に意地でも言わないのか…どっち?」 「ふん……」 これじゃ埒が明かない……どうしたもんか……。 『ジーナ…代われ』 『え?でも……』 『良いから!お前の口調真似するから!』 『わかったわよ……』 瞬時に、私とクロウの意識が入れ替わる。 「ゼロン……私の目を見なさい……」 「目……?あ……」 体はクロウの意識が支配してはいるが、見ることはできる…ゼロンの目が虚ろになっていく。 「もう一度聞くわ?目的は?」 「それ……は、主の……命令で……」 「主?誰?」 「グラハム・ヴォルドー様…の……右腕、エナン……ブリッツウォール……様……」 「エナンが命じたの?」 「あ……あぁ…」 ここで、クロウと入れ替わった。 「ジャバウォックを転送したのはなぜ?」 「我が一族の……領土を……広げる…た……はっ!!」 クロウが使った術が解けたらしく、ゼロンが我に返ったが、何を言おうとしたかわかった。 〈我が一族の領土を広げるため!〉 なんて事?クロウの戦友がそんな事……。 「俺は……一体…」 「先生!聞きましたか?」 「えぇ!ばっちり!」 「二人をどうします?」 「ギルドへ…でもどうすれば……」 こいつらを野放しには出来ない…だが、連れていく方法が……あ!ある! 「先生!二人を抑えれますか?」 「どれくらい?」 「十分か、十五分くらい!」 「三人の力を借りれば何とか……」 「じゃあ、お願いします!」 「どうやるの?」 「転送魔法陣の痕跡を使って、新しく転送魔法陣を作り直します!」 「簡単じゃないわよ?」 「はい!伊達に文献漁りをしていた訳ではないので!」 「わかったわ!」 齢十五歳で転送魔法陣を作れるのは、多分私くらいだろう。
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