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「彼女……セシルから聞きました…自由に依頼を受けたいそうですね?」
「は…はい!」
「ふふ…畏まらなくても良いですよ!貴女よりも爵は上ですが、ギルドではそんなの関係ないですからね」
「あ、はい」
爵は関係ない…と言う事は、セシル先生よりも年上?
「今回、森にグラングリズリーが出たので依頼を出しましたが、グラングリズリーではなくジャバウォックを止め、尚且つ原因を突き止めてくれたそうですね?」
「は…はい」
「知力も戦闘能力も申し分無い…異例ではありますが、貴女にライセンスをお渡しします」
「ほ…本当ですか?」
「えぇ」
彼女は、机の引き出しから何かを取り出し、立ち上がった。
そして、私に近付き手に持っていた何か…を私に手渡す。
「これは…」
「Bランクのライセンスです…流石にAランクは渡せませんが、この国の冒険者として依頼を受けれます」
Bランクのライセンスは、銀色に輝いている。Aランクは、金色である。
「Bランクのライセンスは、数さえこなせばAランクに上がることが出来ます…受けれる依頼はBランクと同じでB級までです」
「はい」
「受けたい依頼の希望はありますか?」
「戦闘系ですかね…?」
「それは薄々感じていました…どういった魔物を相手にしたいか…です」
「霊体系と、不死者系ですね」
即答した私を見て、彼女は少しの間考え口を開いた。
「何故?」
「霊体系の魔物は、倒した時…特殊な魔力を発します…」
「不死者は?」
「単に私の力を試すのに丁度良いからです」
「ふむ…なるほど」
メルシーさんは、納得した声で呟き、私を見据えた。霊体系の魔物が出す特殊な魔力は、魔力量の底上げをしてくれるのだ。
「魔法だけでなく、魔物にも詳しいのですね?」
「はい、実家の書庫に色々な本が置いてあるので…」
嘘ではない……が、書庫へは文献漁りしかした事ない…ほとんどクロウの記憶である。
「分かりました!SSクラスの依頼の合間にやって頂こうかと思います…宜しいですか?」
「はい」
「報酬はどうしますか?」
「半分をアカデミーに当てて下さい」
「良いのですか?」
「はい…生意気に聞こえるかもしれませんが、お金が欲しい訳ではないので…全額でも良いのですが…」
「貰わない訳にもいかない…と?」
「はい」
「ふふ…分かりました!手配は抜かりなくやります!お願いしますね?」
「はい!」
「ふふっ…」
微笑むメルシーさんに頭を下げ、部屋から外に出てギルドから出た。貰ったライセンスは、ちゃんと懐に仕舞った。
『あの年でギルドマスターねぇ…』
『ビックリしたぁ!貴方が生きた時代に、彼女のようなマスターは居なかったの?』
『あぁ…何度か共闘した事があるが、ああいうマスターは居なかったな』
『共闘?ギルドと?』
『あぁ、この話はまたゆっくりしてやるよ』
『お願いするわ』
クロウと頭の中で会話しながら、アカデミーの自室に向かった。
『しかし…あのエナンがなぁ…』
『そうね、戦友であるはずのエナンがあんな命令するなんて…』
『何か嫌な…ドス黒い何かを感じる…』
『勘?』
『あぁ…長年生きてきた勘だ』
『ふーん…』
『なんだよ?あてにならんって返事だな?』
『うっさいわね…』
『おー怖!』
『……』
何よ?こいつのノリ…何か腹立つ!
『怒るなよ…』
『ハイハイ…もう部屋に着くから黙って?』
『わかったよ…疲れたから寝るんだろ?』
『ご名答!』
『了解…』
部屋の前に着くと、一切話しかけて来なくなった。明日から忙しくなるわね…。
自室に入り、部屋の鍵を閉め、胸当てやらなんやらを脱ぎ捨て、裸に近い姿でベッドにダイブする。
ダイブしてすぐ、睡魔が襲う…そのまま、夢の中へ落ちて行った。
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