逃走

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「貴方は、エナン側の魔族……で良いのね?」 「あぁ」 「ゼロンも?」 「あぁ…俺たちは双子の兄弟だからな」 この調子なら、ペラペラ話してくれそうだが、そろそろ辞めないと怪しまれる。 「パチン!」 指を鳴らして術を解く。 「何時までも黙り通す気?」 「……」 「はぁ……もう良い!また来るわ!」 「もう来るな!」 「また来る!」 言ってすぐ扉をノックすると、メルシーさんがすぐ扉を開ける。 「終わった?」 「はい」 部屋から出て、後ろ手で扉を閉めて「ふぅ」とため息をついた。 「話せなかったみたいね?」 「はい……時間ある時にまた来ます」 「分かりました…その時にまた私が案内します」 「はい」 私は、歩き始めたメルシーさんの後を追い、聞いた話を思い返す。 『洗脳ねぇ……』 『うん……洗脳って、簡単に出来るもの?』 『簡単じゃない…エナンの場合特にな』 『特に?』 『あぁ』 『へぇ……』 その内知る事になるだろう。何も聞かず、メルシーさんと別れ、アカデミーに戻った。
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