7人が本棚に入れています
本棚に追加
襲撃
ガロンの所へ時間がある時に寄り、何度か会話を交わしたが、ゼロンが逃げた理由だけ謎のままだった。
特別課外授業の合間に、Bランクの依頼をこなしながら過ごしていたため、少しは強くなれたと思う。
『調子はどうだ?』
『ぼちぼちかなぁ……』
『ぼちぼちねぇ……』
『うん、入学前よりは強くなってると思う…けど……』
『けど?』
『Bランクの依頼だけじゃちょっと……』
『確かにそうかもな』
『うん……他になにか考えないと……』
『そうだな』
「ジーナ!そろそろ帰るって!」
急に、ラミアちゃんが声を掛けて来たので、一度クロウとの会話を止める。
「あ、うん!」
今回の依頼は、そこまで難しいものでは無かった。場所がウィッツロックだっただけに、気合いを入れたて来たのだが……。
「物足りないわね…」
「最近メキメキ強くなってるからじゃない?」
「それを言うならラミアだって同じでしょ?」
「まぁ……うん」
ラミアちゃんについて行きながら、待たせてある馬車に戻る。
「!」
急に、変な気配を感じ、すぐ様魔力感知を行った。
「!!」
「ジーナ?どうしたの?」
「ラミア……まずいわよ?」
「まずい?」
「うん!ウィッツロックに魔物の群れが集まってる」
「えっ!?ほんと?!」
「うん!間違えない!」
「セシル先生に……」
「うん!知らせてきて!」
「ジーナはどうするの?」
「実家近いから、お父様とお母様に……いや、とりあえず…ラミアはセシル先生に伝えて!ギルドに行ってもらって応援を!」
「わかった!」
ラミアちゃんは、体を宙に浮かせて飛んでいく。
『ジーナ!どうする?』
『強い反応の方へ行くわ!』
『南側か?』
『うん!』
言うが早いか、私は空駆けして南へ向かう。南側といえば、ラウルフット高原がある。
「間に合え!」
必死に空駆けした。
「気配はある……けど……」
背の高い草が生えていて、姿を捉えられない。敵からしたら、身を隠すにはちょうど良い。
『なにか来る!』
クロウの声と共に、草むらから何かが飛び出して来た。
「ゴブリン!!」
飛び出して来たゴブリンが、私めがけて突進してきた。
「ちっ!」
突進を躱しながら、腹に一撃お見舞いする。
「グゲェ!」
クリティカルヒット!ゴブリンは、地面に顔から落ちる。
「ギャギャギャ!」
それと同時に、一斉にゴブリン達が現れる。ざっと五十。
「一体どこから?」
『ジーナ!近くに転送陣の気配!』
「え?」
ゴブリンを警戒しながら魔力感知を使うと、今いる場所からそう遠くない場所から、転送陣の気配がした。
『壊さないと次から次に……』
心の中でいい終わる前に、ゴブリン達が突っ込んで来た。
《炎の矢~フレイム・アロー~》
知った魔法が、背の高い草ごとゴブリンを燃やす。
「ギャーーーー!!」
ゴブリン達は、のたうち回りながら絶命していく。
「姉さん!!」
「何とか間に合ったわね!」
後ろを振り返ると、姉さんが杖をゴブリン達に向けたまま微笑んでいた。
後ろには、ラミアちゃんの姿もあり、ちゃんとセシル先生に伝えれたのだろうと安堵した。
「ラミアちゃんから聞いて飛んできたわ!!」
「助かったわ!」
「えぇ!」
姉さんとラミアちゃんに、転送陣の事を話した。
「わかったわ!ここは任せて!」
「うん!ジーナは転送陣を!」
「了解!」
私は、ゴブリンを蹴散らしながら、転送陣があるだろう場所へいく。
「あった!」
一段と高い草に隠すように描かれている。
『この転送陣……』
『あぁ…あの森にあった痕跡に似てる』
『という事は……』
『あぁ…ゼロンだな』
『……』
私は、複雑な思いで転送陣を壊した。
最初のコメントを投稿しよう!