襲撃

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私は、ラミアちゃんを連れて後ろへさがる。 「これは……死ぬ気で行かないと不味いかなぁ……」 お父様は、ボソッとそんなことを言う。 「お父様!!」 叫んだが、こちらを振り返る事無く、全身に魔力を纏う。 「断魔竜王滅殺撃(だんまりゅうおうめっさつげき)!」 「グォォォッ!」 先程よりも、お父様の魔力が上がっている。ダークドラゴンは断末魔の叫び声をあげる。 『駄目!このままじゃお父様が…』 どうにかしたくても、戦いに首を突っ込めない。首を突っ込めば、間違いなくお父様の邪魔になる。 「覇王裂撃掌(はおうれつげきしょう)!」 首を突っ込める人が一人居た…お母様が、お父様の掩護のため、割り込んできた。 「ミリーナ……?」 「貴方だけに任せられませんわ!」 「ふふ……その格好、ジーナに注意出来たものじゃないね?」 私よりも露出の多い服で、お父様の掩護に来たようだが…お父様の言う通り、注意出来たものじゃない。 「う……(うるさ)いですわ!」 照れ隠しをするように、お母様はダークドラゴンに突っ込んで行った。 「覇王竜月波(はおうりゅうげつは)!」 二人の技は、私が使っている技の数段上…しかし、そこまでのダメージを与えれているか怪しい。 「しかし……こうやって二人で戦うのは何時ぶりかな?」 「結婚する少し前……だったはずですわ!」 「となると、もう十七年も前になるのか……」 「時が経つのは……早いものですね」 「そうだねぇ」 二人は、会話しながらダークドラゴンと戦っている……器用なものだ。 だが、二人の力を持ってしても、天災級のダークドラゴンの相手は厳しいようだ。 「もっと…私に力があれば……」 「私も同感……」 ラミアちゃんに肩を貸しながらいう。 セシル先生と、姉さんがこちらに向かって飛んでくる気配がした。 そして、私達の近くに降り立ち「大丈夫?」と聞いてくる。 「私より、ラミアの方が……」 「魔力切れです……」 姉さんが、ラミアちゃんに駆け寄り、ラミアちゃんに魔力を分ける。 「あのお二人の戦いを、この目で見る日が来ようとは……」 セシル先生は、目を輝かせて言う。 「グォォォッ!」 ダークドラゴンが頭を上げ、口に魔力を溜める。強力なブレスを吐く気らしい。 「これは……不味いねぇ」 「防げるかしら?」 「やってみるかい?」 「えぇ!」 二人は手を取り、お父様は右手を、お母様は左手をダークドラゴンに翳す。 「ガァッ!」 ドッと言う音と共に、ブレスが二人目掛けて飛んでくる。 《クレセント・ウォール》 二人の魔力で、強力な壁が強力なブレスを防ぐ……が、押されている。 『このままじゃ……』 『力を貸してやる!』 『駄目……』 『このままじゃ、二人とも死ぬぞ!』 『う…』 『もう一度言う!力を貸してやる!』 『わ…わかった!貸して!』 貸して!の一声で、クロウの力が体中に巡る。肌の色は青黒く、禍々しい魔力と殺気を体に纏う。 《ホーリー・ウォール》 お父様とお母様が作り出した魔力の壁に、私がその後ろに魔力の壁を作る。 そのお陰で、ダークドラゴンのブレスを完全に防ぎ切った。 「ジーナ?」 「その力は……?」 私の変わりように気付いた両親が、目を点にしながら問う。 「今は…何も聞かないで」 それだけ言って、ダークドラゴンに右手を翳す。
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