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気が付くと、あの空間に立っていた。ということは、私は生きていて…
「夢の中だな…」
「もぅ!あれほど心を読むなと…!」
「悪いな」
「良いよ…それよりアイツは!?」
「ダークドラゴンか?」
「そう!」
「お前が放った最後の一撃で絶命…って所かな?」
「私はまだ生きてるみたいね…」
「あぁ、あんな奴相手に今のお前の力で生きてるのが不思議なくらいだ」
「言い方に悪意がある…まぁ倒せたなら良かった」
「安心するのはまだ早い…」
「え?」
「生きてはいるが重傷だぞ?」
「え!?そんなに酷いの?」
「あぁ、右肩脱臼、右脹脛の筋肉断裂…あとは右足脛の骨折…」
「うげ…」
程度にもよるが、治るまでに時間がかかりそうだ。
「リハビリ…代わって?」
「はぁ?俺の生まれ変わりとは言え、お前の身体だぞ?そこは自分で何とかしろよ?」
「そんなガチトーンで言わなくても…冗談なのに…」
「あ…う…すまん」
「うん…それより…クロウの後ろの扉、大丈夫そう?」
「今の所はまだ大丈夫だ」
「そう…」
私は「ふぅ」とため息を付いた。
「それより、古の魔女って知ってる?」
「そういえば、お前のお父様が言ってたな」
「うん…気になってね…」
「聞いたことはある…が、実際に見たことは無い」
「そう…ならお父様に聞いてみるわ!」
「あぁ……そろそろ…」
「うん、朝ね!」
「またな!」
「うん!」
ゆっくりと、周りが霞んで行った。
「う…ん?」
ゆっくり目を開けると、見覚えのある天井が目に入る。
「ここ…は…?」
実家の自分の部屋だ。
「ん…」
私の左横には、ラミアちゃんがベッドを枕に眠っていた。
「ラミア…?」
彼女の寝ている姿を見ていると、お父様が部屋の前に来る気配がする。
「ガチャ」
ノックも無くお父様が部屋に入ってくる。
「起きたのかい?」
「はい、お父様…」
「彼女が付きっきりで看病してくれたんだ…後でお礼言わないとね…」
ラミアちゃんを起こさないような声で、お父様が言う。
「はい…」
「ふふ…今はゆっくり休みなさい!」
「あの…お父様…」
「ん?どうしたんだい?」
「彼女…ラミアが使っていた魔法…精霊魔法と古の魔女の…って説明の古の魔女って?」
「あぁ…それが気になってたのかい?」
「はい…」
「今から遥か昔…世界が混沌に包まれていた時代、一人の魔女がその混沌を祓ったそうだ…その魔女を古の魔女と呼んだ…」
「それって!!」
「うん…昔私やミリーナが、ジーナとマリアを寝かしつける時に話した…」
「おとぎ話かと思ってた…」
「まぁ、おとぎ話として伝えられている事は確かだね」
「…」
「まぁ、もっと詳しい話を知りたいなら、彼女に聞くと良いよ」
「はい…分かりました」
「うん!じゃあゆっくり休みなさい」
「はい!」
お父様は、ゆっくり音をたてず、部屋から出て行った。
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