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ため息を付いて、ヤレヤレと言った身振りをした私を見て、彼女は笑う。
「じゃあ、またアカデミーで!」
「うん、またね!」
ラミアちゃんは、フラフラと立ち上がり、ゆっくり部屋を出て行った。
それにしても…
『あいつが、古の魔女の直系の子孫だったとはな…』
『うん…正直驚いたわ…』
『それはそうだが、俺が一番驚いたのは古の魔女の話が人間の世界ではおとぎ話になってるなんてな…』
『それに驚くなんて…あんたも私の中で聞いてたんじゃないの?』
『いや、その時はまだ眠ってた…お前のあの怒りで目覚めたんだよ…』
『そうなの?』
『あぁ、あの時は寝起きでイライラもしてたからな…貸せれる力をMAXで貸した』
『貸せれる?』
『あぁ…お前に貸せれる力は、その時の力量によって変わる…あの時は今貸せる力の四分の一程度だった』
『へぇ…』
まぁ確かにそうだ…そうじゃなきゃ、体が壊れて死んでしまう。
『なんにせよ、あのラミアという奴と仲良くしとけ…後々役に立ってくれるだろうからな』
『それは…』
『別に取って食おうってわけじゃねぇよ』
『まぁそういうことにしとくわ』
『あぁ』
古の魔女は、おとぎ話では竜をも打ち砕く力を持っていたとされている。
単身で、竜を倒せる力を持っているのであれば、ラミアちゃんの力を借りない訳には行かない。
『もうちょっと、仲良くなれればな…』
起こしていた体を、またベッドに預けて天井を見る。
『古の魔女かぁ…』
昔、寝る時に聞かされたおとぎ話を思い出していると、意識がゆっくりと薄れていった…。
むかしむかし…
世界が闇に包まれていた時代。
一人の魔道士が世界を闇から救うため、二人の仲間を連れて旅に出ました。
一人は凄腕の剣使い、もう一人は魔道士を拾い育てた僧侶でした。
魔道士達は大陸を渡り周り、どうすれば世界を救えるか考えました。
凄腕の剣使いは、「闇を放つ者を撃てば良い!」と言います。
僧侶は、「世界をもっと知る必要がある」と言います。
魔道士は悩みました。どちらの言い分ももっともだからです。
悩んだ末、魔道士は世界を知ることにしました。二人の仲間も、それに付いて行きます。
村、街、国を渡り歩き、世界を知ったときにはじめて、どうするべきかが分かりました。
「国をあげて兵力を上げ、強固な物にして初めて闇に対抗できるのかもしれない」と...
しかし、そう簡単には行きません。魔道士は、二人の仲間と別れ、単身闇の根源に立ち向かう事にしました。
闇の根源を打ち、少しでも時間を稼ぐために。
その後、闇の根源を一人で浄化し、英雄と崇められ、後に古の魔女と呼ばれるようになりました。
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