古の魔女

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「はっ!」 目を覚ますと、空腹なのに気付いた。 『おとぎ話が夢に出てくるなんて...』 体を起こして窓を見ると、うっすらと空が明るくなっていた。 「コンコン!」 部屋の扉がノックされた。 「はい!空いてます!」 私は部屋の外に向けて言う。 「失礼します!」 扉を開けて入って来たのは、執事兼メイド長のリンシアだった。 「リンシア...どうしたの?」 「ジーナ様にお食事を...」 「あぁ、なるほど...」 「お身体の方はいかがですか?」 「良く...はないかな?簡単なものなら右手でも掴めるけど...」 痛む右手を、閉じたり開いたりして見せた。 「まだ、手の動きに違和感があるようですが?」 「うん...でも大丈夫よ」 「分かりました...立てますか?」 「多分...」 ベッドの縁に腰掛け、ゆっくりと脚に体重を乗せる...。 「ッ!!」 痛みは走ったが、倒れる程では無かった。 「大丈夫ですか?」 「うん...でも、ちょっとだけ肩貸して?」 「はい」 リンシアに支えられながら、部屋の真ん中にあるテーブルへ向かい、椅子に腰掛けた。 「食べ終わったらそのままにしておいて下さい...後で下げに来ますので...」 「うん...ありがとう...」 テーブルに並べられた食事を、ゆっくりと食べ始めた。 『何日寝てたんだろ?』 『それは俺に聞いてるか?』 『うん』 『感覚で言うなら五日位だろうな』 『そんなに寝てたんだ?』 『奴を相手にして五日で済んでるのは凄いと思うがな...』 『あんたが言うならそうなんだろうけど...』 パンを頬張りながら、色々と考えた。 『色々考えるより、(なま)った身体何とかしないと...』 『そうだな...』 食事を済ませ、ゆっくりベッドに戻った。
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