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旅
ダークドラゴンの事件の後、私はアカデミーで二年間学び...と言ってもほとんどギルドの手伝いだが...まぁとりあえず学び、首席で卒業した。
姉さんは姉さんでアカデミー卒業後、持ち前の魔法のセンスを買われ、王宮から声がかかり、王宮直属の王宮魔道士として雇われ、魔道兵育成のため、その知識を利用して国のために働いている。
私は私で、家に居てもやることがないので、旅に出ることにした。
ある日の午後...
「ジーナ、アテはあるのかい?」
「んー...一度姉さんの所に顔出そうかなって」
「そうかい...?なら、これを持って行きなさい」
お父様が、小さめの麻袋に金がぎっしり詰まった物を、私に手渡した。
「ありがとう...でも、お父様大丈夫なんですか?」
「なにが?」
「こんなに私が受け取って...」
「あぁ...我が子のためなら惜しまないよ!」
まぁ、そう言うだろうなとは思ってはいたが...。
「有難く受け取ります」
「うん!あ、それと...」
「はい?」
「これも渡しておこうかなと...」
言うなりお父様は、懐から何かを取り出した。
「これは?」
「旅をする上で、一番大事と言ってもいいかな?」
受け取ったのは、一見首飾りにも見えるが、チェーンの部分に札のような物が通されていた。
「もしかして...」
「通行証...しかもそこら辺の物とは訳が違う...それを見せれば大体の関所や検問は、顔パス同然かな?」
「いいのですか?」
「うん!さっきも言ったけど、我が子のためなら...だね!」
「ありがとうございます!」
「うん!言っておいで!」
「はい!」
「ジーナ!たまには手紙書くのよ?」
「はい!お母様もお体に気をつけて...」
「うぅ...」
感極まって、お母様は嗚咽を漏らす。それを宥めてから、二人に手を振って玄関から外に出た。
「ジーナ!」
家から出てすぐ、知った声が私を呼ぶ。
「ラミア!?どうしたの?」
声の主はラミアちゃんだった。
「急にジーナに会いたくなって...お出かけ?」
「あ、うん...実は...」
ラミアちゃんに経緯を簡単に話した。
「旅...」
「そう!」
「ねぇ...私もついて行っていいかな?」
「え!?本気?」
「うん!駄目かな?」
「駄目じゃないけど...ご両親は?」
「あぁ、それは大丈夫!」
「なんで!?」
「うちの親、放任主義だからね...」
「そうなの?」
「うん...手紙よこせとも言わないの」
ラミアちゃんは笑いながら言う。
「なるほどね...わかったわ!」
これからどうするかラミアちゃんに説明し、ガレノ・イーリスを目指すことを告げた。
「マリアさん...元気かな?」
「多分ね...」
私は、空駆けするために足の裏に魔力を込め、ラミアちゃんに手を差し伸べた。
「空駆け?私もできるよ?」
「え!?いつの間に...」
「ふふ...秘密」
彼女はウインクして、先に空を駆け始めた。
「あ!!待ってよ!」
後をおって、空駆けした。
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