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首都ガレノ・イーリス...
「さて...とりあえず宿取る?」
ガレノ・イーリスに着いて早々、私はラミアちゃんに聞いた。
「その方が良いのかな?」
ラミアちゃんは、あまり旅慣れ(私もだが)していないのだろう、首を傾げながら呟くように言う。
「まぁ、姉さんに会った後でも良いんだけどね」
「ジーナに任せるわ!」
会話をしながら、宿では無く王宮へと足を進める。
「マリアさん...元気にしてるかなぁ?」
「元気なんじゃない?手紙には愚痴ばっかり書いてあったけど...」
「愚痴?」
「うん、魔道兵を育てるにあたり、基礎がなってないだぁ...あいつは飲み込みが悪いだぁ...色々ね」
ため息を付きながら、私は手紙に書いてあったことを思い出しながら言う。
「あ、あと...王子から熱烈アタックされてて困ってるらしい...」
「え!?そうなの?私ならすぐOKしちゃうよ?」
「まぁ...タイプじゃないらしい...」
「へぇ...」
ラミアちゃんは、勿体ないと言いそうな顔で腕を組む。
「なんにせよ、行けば分かると思うわ!」
「うん...そうだね!」
王宮に向かう途中、何度か男共に声を掛けられたが、ウィルハート家の人間と知るやソサクサと逃げ出した。
「さて、着いたわね!」
「うん、上手く会えるかな?」
「何とかなるんじゃない?」
「かなぁ?」
王宮入口で、見張りの兵士に止められた。
「王宮にはどのようなご用で?」
「マリア・ウィルハートを尋ねて来たのですが...」
「マリア・ウィルハート...?王宮魔道士の...?」
「はい...私の姉なのです」
「なるほど...」
兵士は少し考えて、「何か証明出来るものはないか?」と聞いてきた。
「これは証明になる?」
懐に忍ばせておいた通行証を、兵士に見せながら言う。
「こ...これはッ!」
通行証を見た瞬間、兵士の顔色がかわり、横にいたもう一人の兵士と、何やらコソコソ話し出す。
「お名前を聞いても?」
「ウィルハート伯爵家、ジーナ・ウィルハートです」
「...少し待てますか?」
「はい...何時でも待ちます」
「分かりました...」
顔色を変えた兵士は、横にいた兵士に入口を任せ、一人奥へ姿を消した。
そして、十分もたたないうちに、誰かを連れて戻って来た。
「お待たせしました!軍の管理者をお連れしました!」
「管理者?」
「はい!」
兵士は後ろへ下がり、兵士が連れてきた管理者?が前へ出る。
「キミが、マリアの妹?」
「はい!ジーナ・ウィルハートと言います」
「ふむ...確かに顔立ちはマリアに似ているな...」
「姉妹ですから...」
「おっと!名乗り遅れたね...私は、この王宮の軍を統率している...ラーグ・ランスロット...」
金髪の長い髪で、騎士の鎧を身に纏った二枚目の男がお辞儀する。
「はい...」
「ジーナ...マリアにはどんな用で?それに横の方は?」
「あ、えっと...」
姉さんに会いたい理由は後回しにして、ラミアちゃんの事を簡単に紹介した。
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