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ダンは眼を輝かせて
アキラを見た。
「少しでも結構なことだぞ」
「アキラ、君は天神様の使いだよ。
魔法は天神様に仕えるひとしか
使えないんだ」
アキラは俯いて、
顔を上げようとしなでいる。
「天神とは何だ?
なぜ魔法が使える?」
「天神様は天を創り、
地神様は地を創り、
自然は食物を創り、
人は家を創った。
僕ら天神様に仕える信徒は、
これをまず学ぶんだ。
魔法はね、
天神様と地神様の
魔族に怯える人々に
恵んだ力なんだ。
地神様は色々あって
魔法は使えないから、
そうだね、アキラは
天神様の神殿にいたから、
きっと僕と同じ魔法を
使えるはずだよ」
カイは話を切るように
ダンに目配せする。
アキラは顔をしかめて
深く考えてるようだ。
「服を買いにいくぞ、
アキラ。飯も食い終わったしな。
ダン、支払い頼む。
さすがにアキラも
色々聞かされて、
混乱してるぞ」
「ごめん、カイ。アキラ。
つい熱が入っちゃった。」
カイはグリーンの短髪の
後頭部に手を当てて、
「アキラ、ごめんな」と
小さく呟く。
「いや、いい」
アキラはそういうと、
黒髪を掻きむしって席を立った。
ダンが支払いを済ませると、
小汚いのれんをくぐって、
アキラを連れて外に出る。
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