少女魔王

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 路地を抜けると大きな広場に出た。  そこには露店が並び、  色々な物が売られている。 「アキラ、こっち」  ブルーの肩に掛かる髪のダンが  黒髪のアキラを呼ぶと、  (ひげ)(たくわ)えた老人のいる  露店で足を止めた。 「うーん、アキラ、 予算は銀貨一枚だけど、 どれがいい? こっちにも可愛いのがあるよ」 「阿呆(あほう)、どれでもいい。 適当に選ぶがいい」  アキラはそういうと、  広場のシンボルである竜と戦士の  巨大な彫刻を見ている。 「気になるか」  カイはグリーンの短髪の後頭部に  両腕を組んでアキラに説明する。 「鋼鉄(こうてつ)の竜を倒した聖戦士アキラの銅像さ。 聖戦士アキラはこの町出身の英雄なんだ。 いい名前、もらったな」 「馬鹿馬鹿しい御伽話(おとぎばなし)町興(まちおこ)しか。 人間はそういうのが好きか?」  ダンは一枚の服を手に取って、  銀貨一枚を店主に渡す。 「アキラ、見て!可愛いよ」 「ダン、お前の趣味丸出しだな」  カイが突っ込むと、  ダンは笑って頭を掻いた。 「選んだ者の特権だよ。 アキラ、これで着替えも準備出来たし、行こ。 町を出て、魔族退治にいくんだ。 この町の周辺に潜んでいるらしいけど、 どこにいるかは分からないってさ。 僕らは次の町にいく道中出会えたら、 ラッキーというとこかな」  アキラはグリーンのスリットの深い  丈の短い戦闘服を見ている。  ダンはナップザックにそれを入れて背負うと、 「行こ」  と笑顔でアキラにいった。
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