少女魔王

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 【少女魔王】は城の頂上で立っていた。  彼女は黒い長い髪に、  レザーのショートパンツを穿いている。  黒い雲が辺りを闇と化している。 「【少女魔王】、てめえに伝言だ。 中位魔族たちにも 飢餓が回って来ている。 てめえも魔王なら、 何かを考えろ」 「飢餓がどうした。 魔界は今も魔族たちが生きている。 貴様も生きているということは、 正しく餌が回ってる証拠だ。 この上何を願う? もっと腹一杯食べたければ食べればいい。 どの道私には関係ない出来事だ」  【少女魔王】は黒い雲の塊から  雷が落ちたのを見た。   【悪魔の赤】は軽く(うなず)くと、  いきなり【少女魔王】に魔法を放った。  炎の柱は渦を巻いて、  空中に浮かぶ【少女魔王】を  焼いているようだ。 「私を殺したいか?」 「そうだな、それもそうだな」  【悪魔の赤】は炎の渦が  相殺されたのを見て、  ニヤニヤ笑い出した。  【少女魔王】は無駄な手数が  また来ると思って、  溜め息を吐いている。 「魔法の源は私【少女魔王】にある。 何をやっても貴様は 傷一つ付けられないだろう。 何をやってるのか、 分かってもいるだろうに。」 「そうだったな、 それでも使いたくなる、 この苛立ちを、 どうしてくれようかな。」   【少女魔王】がふと空中に浮かびながら  後ろを振り返ってみると、  巨大な黒い雲がぶわりと  こちらを囲んで来た。  【悪魔の赤】はこういった。 「ゲートを呼び寄せるのに 力は使ったぜ? お前は人間界で、 魔族たちのために 頭を冷やして来るんだな、 【少女魔王】」  【少女魔王】は黒い雲の闇の中から、  「貴様、覚えとけ」といって、毒づいた。
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