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神殿の周りは人で賑わっていた。
カイとダンは人混みをかき分けて、
神殿の中に入るのに成功した。
「賢者様、どうかこの娘をどうしたらいいのか、教えて下さい」
賢者は長い髪とヒゲを持ち、鈴の鳴る杖を持っている。
「儂には天神の声が聞こえる。
その娘は魔族を一掃するだろうと
いわれておる。旅に出した方がいいだろう。
儂にはこの娘が何かを起こす
呼び水と出て来るのじゃが、
その先は靄が掛かって見えないのじゃ。
こんなことは初めてじゃ」
「名前を決めて下さい、賢者様。
私たちが聞いても答えないのです」
カイとダンが見ている少女は、
黒髪が長く、エメラルドグリーンの眼を持ち、
黒いレザーのジャケットにショートパンツという軽装で、
祭壇の上で脚を組んで腰掛けている。
「儂には古代の英雄の男の名をつけなさいと、
天神はいっておる。
アキラ、それがこの娘の名じゃ。」
「いいですね、アキラ。」
アキラと呼ばれた少女は、無言のまま顔をしかめている。
「賢者様!」
突然ダンは声を上げた。
「僕ら、アキラと共に魔族を駆逐すると
約束します!賢者様!
その子といくのをお許し下さい!」
「何じゃ、もう覚悟を決めた少年がいたのか。
儂は安心した。天神の子じゃな」
ダンは前へ一歩出る。
「はい!この紋様が天神様に仕える信徒の証です!」
カイはアキラを見ていると、
アキラは飽きて来たのか足をブラブラさせている。
「共にいけ、アキラ。お主にしか出来ぬことをするのじゃ」
「アキラ、こっち来て!
一緒に魔族を根絶やしにしよう!」
ダンの言葉にアキラは顔を伏せて笑っている。
「いい、来い」
カイは賢者にもお構いなくアキラの腕を取った。
そのまま引っ張って出て行こうとすると、賢者は声を掛ける。
「少年、その子を離すんじゃないぞ。
希望が見えるのじゃ」
「分かった。アキラは貰い受ける。じゃあな」
カイとダンはアキラを連れて、神殿を出ていった。
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