少女魔王

7/8
前へ
/8ページ
次へ
 神殿から遠ざかると、  カイはダンに、「今日の食事代」」と聞いた。 「三人になったから、これくらいかな」 「俺らも名を上げないと、 どんどん飯が食えなくなるな。 アキラ、何か食いたい物はあるか? 俺らは貧乏な旅人だけど、 魔族退治の礼金で食ってるんだ」  グリーンの短髪のカイは、  そういうと背中に(かつ)いだ剣をスラリと抜いた。 「コイツは俺の相棒(あいぼう)。 いつか魔族がいなくなれば、 俺の村も変わるかも知れない」 「カイの村はね」  ブルーの髪を肩まで伸ばしたダンが横入りする。 「魔族たちに子供を献上する酷い村なんだ。 カイは逃げて帰れたけど、 カイの兄は帰れなかったんだよ。悲しいね。」  アキラは少し顔をしかめて話を聞いている。 「僕は天神様に仕える信徒だから、 大神殿からカイの村を守るように 派遣されたんだ。 これでも腕は一流なんだよ」 「戦えるのか?」  初めてアキラが口を開いた。  カイとダンがようやく心を赦したかと、安堵(あんど)する。 「俺は我流で身体を鍛えて剣の腕を磨いた。 ダンは村に来た時はもっと小さかったけど、 魔法が使えるんだ。 ダンも魔法の書を研究して、 あの頃と比べものにならないくらい、 強くなった。 俺たちの自己紹介は終わりだ。 アキラ、今度はアキラの番だ」 「生憎(あいにく)話すことがない」  アキラは何か引っ掛かったようだが、  それ以上はいわなかった。 「飯を食おう。安くてうまい飯が一番だ」 「僕らのオススメの食事処(しょくじどころ)へいこう。 アキラも一緒に旅をするから、 色々そろえないとね」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加