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ダンは魚の煮付けを
食べ終えると、
カイと同じように
パンを千切って
スパイスと塩を振る。
「神殿の祭壇に
アキラはいたけど、
僕は天神様の教えを
知っているから
分かるんだ。
祭壇に召喚された
アキラは、
世界の鍵なんだよ」
「世界の鍵って
何の話だ、ダン?」
カイが聞くと、ダンはブルーの髪が
顔に落ちて来たのを直してから、
パンを頬張りつつ説明する。
「世界の鍵はね、
魔族たちの消滅を
後押しする力を持つ
ひとなんだよ。
アキラって名前はね、
昔、鋼鉄の竜を倒した
英雄の名前なんだ。
その名前、大切にしようね、
アキラ」
「私はそんな
馬鹿馬鹿しい話を、
信じる気はない。
もうちょっと
マシな噓を吐け、
阿呆」
ダンは笑いながら
アキラに両手を振る。
「確かにおとぎ話の
ようだけど、
天神様の書にある
歴史だよ。」
「世界の鍵が
魔族消滅に関わるなら、
アキラは
戦えるのか?」
アキラは手で顔を覆って
上を見上げている。
「そうだな、
少しは魔法も使えるし、
武器も使えるが、
世界の鍵の話は
信じる気にはならない」
「魔法を使えるの!?」
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