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降り始めた雪は、しーんと冷たい匂いがした。
3学期。私は国立大学を受検した。当初国立大学のみ受験するつもりだった。でも周囲から滑り止めにと言われて、私立大学も受験した。
全ての大学入学試験を終えたあと、私は自由になった。そして漫画の続きを描き始めた。でも、全くうまくいかなかった。それはある程度予想できたことだった。ヨースケがいなくなったあとの物語なんか私は創造することができなかったのだ。これが私。最初から漫画家になんかなれるはずはなかった。こんなことなら、漫画なんか描かずに勉強をしていればよかった。そんなことさえ思い、私は途方に暮れた。
卒業式前に、私立大学の合格発表があった。真里と涼子はそれぞれ目指していた私立大学に合格してはしゃいだ。
「亜美も、K大受かったんでしょ? さすがだねー。あんなに成績が落ち込んでいたのに、すぐに挽回するなんてさ」
真里が言った。
「でも、国立はきっと受からない。いや、絶対に・・・私なんか・・・」
「K大で十分じゃん。私たちだって、国立は受からないよ。国立は別格だからね」
高校生活もあとわずかになった。私にはもう何もないように感じた。
そして私は、誰にも会いたくなくて、卒業式を欠席した。
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