第八話 クセの強いプレイは初めてなので……

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第八話 クセの強いプレイは初めてなので……

前回のお話のまとめ〜〜 猫がいっぱいになった。 前回のお話のまとめ〜終〜〜〜 「ユキ、俺の部屋に来い」 朝食後、片付けをしようとしていたユキに、カイラが鋭い声で言った。有無を言わせぬ雰囲気に、ユキは素直に言うとおりにカイラの部屋に向かった。 「ベッドに座って目をつぶれ。そして眼鏡を取れ。服も脱げ」 「ふ、服も……?」 「何度も言っている。俺は貴様の下着姿なんて興味がない。今日は泣いても言うとおりにしてもらうからな」 カイラの厳しい口調に、ユキは反論を諦め、服を脱ぎ、眼鏡を外して目を閉じた。 すると、カイラはすぐにユキの黒い布で目隠しをして、さらに両手を後ろ手で縛ってしまった。 ユキは、カイラ様は何をしているんだろう、と思ったが、すぐにハッと思いついた。 「……確かに私はカイラ様に解呪を依頼する際に、お金ではなくこういう事を要求される事も覚悟しておりました。なので覚悟はできております……が、未熟者でこういったクセの強いプレイは初めてなので、カイラ様を満足させる事ができるかどうか……」 「貴様は何を勘違いしているんだ」 カイラは呆れ返った口調で言った。 「まあいい。貴様、昨日毒蛇に噛まれただろう。ほら、この服の下。今かなり辛いのではないか」 カイラの言葉に、ユキはギクリとした。 確かに、昨日庭で何やら小さな蛇に噛まれた。しかしそこまでひどい怪我ではなかったので放っておいたら、夜中から酷い熱が出てきたのだ。 「うちの庭に出るのは人を殺すような毒蛇ではないが。しかし一週間ほどかなり苦しむはずだ。ユキ、よくもまあ涼しい顔で今日朝飯を食えてたものだ」 「……これ以上ご迷惑おかけするわけには……」 「ふん、この馬鹿が。俺を誰だと思っている。それくらいの毒、すぐに解毒できる」 カイラのそんな声が聞こえたかと思うと、何やらガチャガチャと棚を探る音と、何かが開けられた音がした。そして…… 「え?何この匂い、く、臭い!!臭いです!!」 「はは、大人しくしろ。暴れると思ってすでに拘束してあるぞ。誘惑魔法の目も塞いでいるし、観念するんだな!」 カイラは楽しそうな声を上げる。 「な、何を……うえっ!!く、臭い!ドブ!?下水!?」 「ドブでも下水でもない。ほら、口を開けろ」 カイラは、ユキの顎を掴んできた。ユキは必死で抵抗する。 「臭い!ムリです!」 「無理じゃない、ほら、口を開けろ。俺の命令が聞けないのか?ん?」 心底楽しそうに、カイラはユキに馬乗りになって無理やり口を開けさせると、その臭いモノを突っ込んできた。 「うっ…………んんん!!!!」 不味い!苦い!臭い!痺れる!!すぐに吐き出そうとしたユキだったが、カイラはそうはさせまいと口を塞いできた。 「飲み込め。吐き出させはしないからな。飲み込まないとずっとその不味いのが口の中に残るぞ」 ――そんな事言っても!飲み込めない! ユキがそう半泣きになった時だった。 暴れたせいだろう。ユキの目隠しがパラリと取れた。 ――― ―――――― ―――――――― 「ごめんねごめんね。でも頑張って」 甘えん坊でユキの事が大好きなはずの、誘惑にかかったカイラなら、きっとこんな酷いことはやめてくれる。そう思っていたのに、甘えん坊のカイラも、ユキの口を塞ぐのをやめなかった。 「ユキちゃんのためだから。頑張って。終わったら、今日は俺が甘やかしてあげるから」 別に甘やかされなくてもいいんだけど。そうユキは思いながらも、カイラの真剣な様子に、覚悟を決めてその臭くて不味い何かを飲み込んだ。 「うえっ」 喉越しも最悪だった。 飲み込んだあとも涙が止まらない。 「頑張ったね。よしよし。甘い紅茶でも入れようか?それとも温かいミルク?クッキー食べる?」 カイラが、ユキを抱きしめながら頭を撫でてくる。 「カイラ様、これは一体……」 「甘いものでお口直ししたら、ゆっくりここで寝ててね。もう辛いの我慢したらだめだよ」 カイラがユキをグリグリと撫で回し、魔法で紅茶を出現させた。 「もしかして、魔法薬、あの治癒薬だったんですか?」 ユキがたずねると、カイラはコクンと頷いた。 「辛いはずだから、早く治してあげたくて……ごめんね。まずかったよね」 「言ってくれれば……。拘束しなくても暴れないように我慢もしますよ」 ユキは少し不貞腐れる。 カイラは、泣きそうな顔でシュンとしながら言った。 「ごめんね。でも、あの薬を飲ませるときに暴れないよう拘束するのは誰にでもするんだよ。結局暴れて怪我しちゃう人が多いから……」 そう言って、カイラはユキにすり寄った。 「ユキちゃんが怪我するの、やだもん……」 「そ、そうですか」 そういわれてしまうと、ユキも何も言えない。 「ともかく、具合悪いときに無理しないで。怪我とか病気になったら必ず言うんだよ」 そう言ったカイラは、ユキを優しくベットに寝かせると、頭をなでて優しく言った。 「ユキちゃん。眠りの魔法かけてあげるからゆっくりとおやすみ」 ユキが何かを言う前に、カイラはユキに魔法をかけ、そしてユキはそのまま深い眠りに落ちた。 ※※※※ ユキが目を覚ますと、体はびっくりするほど軽くなっていた。 薬の効果に驚いていると、ドヤ顔のカイラがベットの横に立っていた。 「どうだ。この俺の魔法薬の効果は。感謝するがいい」 甘えん坊のカイラは消え、いつもの偉そうなカイラが偉そうな顔をしていた。 「ご心配おかけしました」 ユキは丁寧に頭を下げる。そして眼鏡をかけると、少しだけ口をとがらせてカイラを睨んで言った。 「でも、絶対ちょっと意地悪しようと思ってましたよね?だってカイラ様、とても楽しそうに私に馬乗りになっていらっしゃったから……」 「はは、あの不味い薬を飲ませて臭い臭いってのたうち回る姿を見るのは面白いからな」 ご機嫌でそう言いながら、カイラはユキに乱暴に暖かいミルクを差し出した。 「ま、これに懲りたら自分の体大事にすることだな。ユキが具合が悪くなったらまた同じ事をしてやるからな」 そう言うと、カイラは部屋を出ていった。 「優しいくせに……」 ユキは、暖かいミルクを口にしながら、少しだけ微笑んだ。
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