30人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
MMORPG
高校から帰るとベッドに寝転がってスマホを取り出す。ゲームアプリを起動した。
僕は『ファンタジーサーガオンライン』というMMORPGにハマっている。MMORPGとは多人数が同時参加するオンラインゲームだ。
新イベントが始まったから、装備を作るための素材を必死に集める。今回のイベント装備は華やかで見た目がいい。絶対に頭、胴、足の全装備を作りたい。
フレンドがログインしたことを知らせるポップが表示された。中学で仲良くなって、高校は別だが今でも付き合いのあるゲーム仲間の山田文哉だ。
すぐにチャットを送る。
『一緒に素材集めないか?』
『同じクラスの子も一緒だけどいい?』
同じクラスにこのゲームができる仲間がいて羨ましい。初対面の相手とは緊張するが、文哉もいるし、文哉の友達なら僕と文哉と同じようなオタクだろうし大丈夫かな?
『いいよ、よろしく』
グループ通話の招待が来て、恐る恐るそこに入る。
「こ、こんにちは。初めまして」
『初めまして、文哉くんと同じクラスの片桐穂高です。めっちゃやりこんでる友達って聞いて、一緒にできるの楽しみです。足を引っ張ったらすみません』
僕はどもってしまったのに、ハキハキと返されて驚く。コミュ力の高いオタクなんているんだ、と。
「大竹祐樹です。よろしくお願いします」
とりあえず名乗れた。緊張する。
『ぼくと穂高くんは新イベントの素材を集めたいんだけど、祐樹もそれ目的?』
『そう! 今回のイベント装備カッコよくて』
『じゃあ狩り場に移動しようか』
僕は剣士、文哉が魔術師、片桐くんが銃士。僕が引き付けている間に、後衛の2人が倒すのが効率のいい戦い方だろう。回復役がいないから、多めに回復アイテムを持っていこう。
必要数が多いけど、ドロップ率は悪くない。ひたすら敵を倒しまくって稼いでいく。
初対面の相手とプレイをして、こんなに楽しめるとは思わなかった。片桐くんは本当にコミュ力の高いオタクだ。奇跡の人だ。
最初のコメントを投稿しよう!