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夜のゲーム
夕食とお風呂を終えると、ゲームにログインする。ログインした途端、文哉からメッセージが届いた。
『一緒にやらない?』
『やる!』
すぐに通話を繋げる。酒場で合流して食事をする。ドリンクはもちろんドロップ率アップ。昨日これを飲んだんだ、と思い出して頬が緩んだ。
早速イベント装備の素材を集めに行く。僕が引き付けて文哉が魔法で広範囲を攻撃していく。この調子なら今日中に1つは完成しそうだ。
「そういえば、真田くん、僕のこと知ってた」
『そうなの? 一緒にゲームした?』
「してない。学校に着いて話かけられて、よく分からないけど怒らせちゃったみたいで」
『祐樹が人を怒らせるなんて珍しいね。あっ、穂高くんから連絡きたんだけど、一緒にやりたいって』
「うん、いいよ」
真田くんの友達の片桐くんは何か知ってるかな? 相談してもいいかな。
『文哉くんさっき振り! 大竹くんは昨日振りだね、よろしく!』
片桐くんは通話に参加して早々、明るく挨拶をしてくれる。
「昨日はとても楽しかった。コラボカフェに誘ってくれてありがとう」
『いやいや、どういたしまして』
「あの、ちょっと相談があるんだけど」
『いいよ、何でも言って!』
敵を倒しながらどう話そうか思考を巡らす。最初から話した方が分かりやすいかな。
「僕と真田くん、クラスメイトなんだけど」
『ああ、昨日帰る時に聞いた。自己紹介されたから、俺ってそんなに印象薄いか? って落ち込んでたよ』
ウケるよね! と片桐くんが声を弾ませる。
「知ってたんだけど、僕の方が知られてると思ってなくて。僕は目立たないから。それで、今日の朝に話かけてもらったんだけど、真田くんのこと怒らせちゃったみたいで。でも、理由がよく分からないんだ」
『あいつ怒るの? ちなみに何て言ったら怒ったの?』
片桐くんの口振りからすると、真田くんは滅多に怒らないようだ。本人に言うのは恥ずかしいけど、理由を知りたいから答える。
「片桐くんのことカッコよくて憧れるって言ったら、機嫌が悪くなったみたいで」
一拍置いて、片桐くんが大笑いしだした。ヒィヒィと言いながら腹が痛いとも。僕、片桐くんを褒めただけなのに、そんなに面白かったかな?
今まで黙ってた文哉は、分かる、としみじみ言う。
『あー、めっちゃ笑った。俺は理由を知ってるけど、俺が言うべきことじゃないから言えないかな。でも、大竹くんは絶対に悪くないし、俊成がめんどくさいってだけだから気にしなくていいよ』
「そうなの? でも、仲直りはしたいんだけど」
『じゃあ今からゲームに誘ってもいい? 喜んで来るよ』
僕と文哉がいいよ、と言えば、真田くんにメッセージを送ったようだ。
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