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席に着いてリュックから賞状筒を取り出してランチョンマットをしまう。前回と絵柄が違って嬉しい。
「それ持ってくるの忘れてた」
「真田くんは忘れてるかなって思って、もう一本持ってきたからあげる」
「いいのか?」
「うん、100均で買ったやつだし、僕が使って新品じゃないから持って帰ったら処分してもいいからね」
「取っておくよ、ありがとう。またやることがあれば使えるし」
「またコラボカフェやるといいね」
次回があるとしても、だいぶ先なんだろうな。
小皿に取り分けて交換する。グラタンもカレーもすっごく美味しい。ドリンクは真っ青なのに柑橘系の味がして見た目とのギャップに驚いた。
隣に座っていたのが写真を撮ってくれたカップルだったから、真田くんが声をかけて一緒に少しだけゲームをした。顔を合わせて知らない人とゲームをするのは初めてだったけど、人見知りをしない真田くんが橋渡し役になってくれて、僕も楽しく会話しながら遊べた。
お店を出て、並んで駅まで向かう。昨日片桐くんに本人に聞いてと言われたことを聞かないと。
「真田くん、昨日のお昼に片桐くんと文哉とゲームしたんだけどね」
「え? 誘ってよ」
「あっ、ごめんね。でも少しゲームしたら2人は出かけたから長くはやれなかったんだけど。それでね、テストはもう終わったって言ってたんだ」
真田くんを見上げると、気まずそうに視線を逸らされてしまった。
「それとね、真田くんは片桐くんじゃなくて僕を誘いたかったんだから、素直に誘えばいいのにねって言われたんだけど」
「は? 穂高がそう言ったの?」
僕が話終わる前に真田くんが勢いよくこちらを向いて声を上げる。驚きすぎて頷くことしかできなかった。
真田くんは大きなため息を吐いて肩を落とす。そして無言のまま歩くから、聞かなかった方がよかったのかな、と不安になる。
「ごめんね、変なこと聞いて」
「いや、謝るのは俺の方。今も気を使わせてごめん」
また黙り込んでしまって駅に着いた。
「えっと、じゃあまた明日ね」
手を顔の横で振ると、その手首を掴まれた。
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