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『来週の日曜日にコラボカフェに行かない? 文哉くんと行こうって言ってたんだけど、2人とも自分で2人分予約しちゃったんだよね。キャンセルするのももったいないから、大竹くんが予定空いてればどうかなって』
行きたい。めちゃくちゃ行きたい。1人では行く勇気がないから、文哉を誘おうと思っていた。でも、片桐くんと話せているのは顔が見えないからであって、実際に会ったら変な汗が出るほど緊張しそうだ。
『祐樹も一緒だと嬉しいな』
文哉が弾んだ声を出す。文哉も一緒なら大丈夫かな。
「……僕も一緒に行きたいです」
『決まりだね。あと1人誘えるけど、大竹くんは誰か誘いたい人いる?』
「いません。文哉しかやってる人知らないので」
僕のゲーム友達は文哉しかいない。ゲーム内フレンドは何人かいるけど、リアルでは文哉だけ。
『じゃあ俺が1人誘っていい? 最近始めた奴なんだけど』
「はい、大丈夫です」
話せるか不安はあるが、文哉がいるからなんとかなるだろうし。
『穂高くんのお友達に会えるの楽しみだな』
文哉は友達の友達に会えるのが楽しみになれるほどコミュ力高かった? どちらかというと、僕みたいに初対面相手にはビクビクしていたと思うけど。
『いいやつだよ。初心者だけど仲良くしてやってね』
「はい、もちろん!」
『大竹くんはいつまで敬語なの? 同じ年なんだからタメ口で良くない? 文哉くんの友達と仲良くしたいんだけど』
片桐くんは最初の挨拶だけ丁寧な言葉だった。僕は慣れなくてずっと敬語で話していた。仲良くしたいと言われて嬉しくなる。
「ありがとう。僕も片桐くんと仲良くなりたい」
『そうそう、そうやって気楽に喋ろ。……って言っても時間切れだ。夕飯に呼ばれたから俺は落ちるよ、また時間が合う時やろうね』
「うん、ありがとう。またね」
『穂高くん、また明日ね』
片桐くんがログアウトして文哉と2人になる。
「文哉はまだ大丈夫?」
『うん、ぼくも夕飯ができたら落ちるけど祐樹は?』
「僕も夕飯までやるから、まだ一緒に素材集めしようよ」
『うん、いいよ』
敵を倒しながら、話題は片桐くんのことになる。
「高校に入ってから、ずっと仲良いの?」
『ううん、2年生になって同じクラスになってからだから、仲良くなったのは最近だよ。このゲームを休み時間にやってたら声を掛けてくれて、一緒に遊ぶようになったんだ』
文哉の声がウキウキと弾んでいるように聞こえた。そんなに仲良いのか。僕には同じ学校にそこまで仲の良い友達がいないから羨ましい。
『コラボカフェ楽しみだね』
「うん、早く行きたい」
別の地域で先にコラボカフェをやっており、SNSを見るとメニューも内装も凝っていた。ほとんどの人が絶賛していたから、すごく楽しみにしている。
『ごめん、ぼくも落ちるね。夕飯できたって』
「分かった。またね」
『うん、またね』
文哉がログアウトしたから、僕もゲームをやめた。
コラボカフェ楽しみだな。実際に会って、片桐くんとその友達とも普通に話せるといいな。
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