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告白
教室の扉を開く前に大きく深呼吸する。意を決して教室に入ると真田くんはまだいなかった。廊下に戻って登校するのを待つ。さほど待たずに真田くんがこちらに歩いてくるのが見えた。僕に目を向けると気まずそうに俯く。これで今まで通りの友達でいられるのか不安になった。
「真田くんおはよう」
明るく声をかけると視線を合わせてくれてホッとした。真田くんも表情が和らいだように思う。
「祐樹おはよう。俺のこと待ってたの?」
「うん、教室にいなかったから」
真田くんの方が後に登校してくれてよかったと思う。教室に入ったら真田くんはみんなに話しかけられるから、輪の中心にいる真田くんに話しかける勇気はない。
「話しかけてくれてありがとう。もう無視されるんじゃないかって怖かった」
「そんなことしないよ」
友達でいたいから、そう続けたかったのに声に出せなかった。
「もうすぐ予鈴が鳴るから教室に入ろうか」
「そうだね」
頷いて自分の席に着く。胸のつっかえはまだ取れない。後ろを振り返って真田くんに目を向ける。僕と目が合うと困ったように笑った。すぐに正面に向き直る。
僕のことずっと見てたの? 身体が熱くなって心音はとてつもなく速い。本当に今まで通りの友達としていられるのかな? 友達を見るだけでこんなに反応してしまうなんて、僕の方が真田くんを友達としてみていないのではないかと思って熱い頬を両手で覆った。
休み時間に少し話したけど、やっぱり僕がおかしい。真田くんといるとドキドキがおさまらない。
僕にできるから分からないけど、片桐くんのアドバイス通りにやってみよう。
放課後に真田くんを僕の家に誘った。真田くんは戸惑いながらも着いてきてくれた。
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