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コラボカフェ待ち合わせ
コラボカフェ当日はコラボカフェが楽しみなのと、初対面できちんと話せるか不安でソワソワしていた。
待ち合わせ場所には20分前に着いたから、文哉はまだ来ていない。片桐くんのこともその友達のことも知らないから、文哉と合流しないと他の2人とも会えない。
「祐樹、久しぶり」
肩を叩かれ、文哉の声に顔をそちらに向ける。
……誰?
僕の知る文哉は、分厚い眼鏡で目元が隠れるくらい前髪が長くてどこかしらに寝癖がついているような、見た目に頓着しない子だった。最後に会った2ヶ月前まではそうだった。
今目の前にいるのは、おでこが半分以上見えるスッキリとした短髪で眼鏡はかけていない。
「えっと、……文哉でいいの?」
「そうだよ。どうしたの?」
「だって、ちょっと会わないうちに垢抜けたっていうか……」
文哉の変化に戸惑う。こんなに変わるってことは、彼女でもできたのかな。
「色々あって」
頬を染めてはにかむ文哉を見て、彼女ができたのだと確信した。
「文哉くん、おまたせ!」
文哉に根掘り葉掘り聞こうとしたら、後ろから片桐くんの声が聞こえた。
「待ってないよ。まだ待ち合わせ時間前だし」
文哉が僕越しに手を振る。振り返ると、驚くほどの美形が立っていた。背が高く、165センチの僕は首を反らさないと目が合わない。ミルクティー色の短い髪がとても似合う華やかな顔だ。
「大竹くん? 今日はよろしくね」
人懐っこそうに八重歯を見せて笑い、手を差し出された。呆気に取られていたが、慌てて握手をして頭を下げる。咄嗟に掴んじゃったけど汗ばんでいないかな、と不安になるが、片桐くんは気にした様子もなく掴んだ手を上下させた。
手を離されると、ちょっとすみません、と断りを入れてから文哉の腕を掴んで離れた。聞こえないように身体を寄せて小声で話す。
「ねぇ、大丈夫なの? イケメンギャルとゲームのコラボカフェって。片桐くんって本当に友達? パシリにされてない?」
「穂高くんは優しいよ。でも、友達ではないかな」
優しいけど友達じゃない? ただのクラスメイトってこと? でも、ゲームを通して仲良くなったって言ってたよね。
考え込んでいると、片桐くんが文哉の肩に腕を回してしなだれかかる。体重をかけられて文哉がよろけた。
文哉が気付いていないだけでいじめられてるんじゃないの? と思うけど、片桐くんはよろけた文哉を自分の方に引き寄せて支えた。
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