コラボカフェ待ち合わせ

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「なんの話? 俺も仲間に入れてよ」 「ぼくと穂高くんのこと聞かれただけだよ。僕と穂高くんはゲームで仲良くなったんだよ。でも、それを面白くないって女の子たちに嫌がらせで前髪を思いっきり切られちゃったんだ」  なんでもないことのように言われ、耳を疑う。 「え? 大丈夫なの? 怪我とかしなかった?」 「うん、それは大丈夫。その時は怖かったんだけど、すぐに穂高くんが来てくれたし。それで女の子からハサミを奪って、自分の前髪を切ると『お揃いだね』って笑ったんだ。みんなポカンとして、すぐに泣き叫んで地獄絵図だったよね」 「あれは笑ったよな」  あっけらかんとした片桐くんにも目を見張る。イケメンギャルって髪を大事にしているものじゃないの? それを自分で切ってまで文哉を助けてくれて……。片桐くんは『コミュ力の高いオタク』ではなかったけど『オタクに優しいイケメンギャル』という奇跡の人に変わりはなかった。 「その後美容室に連れてってくれたね」 「いつも行ってるところだから、美容師に驚かれたな。前髪がパッツンになってるんだから」 「だから髪が短いんだね」 「うん、それで髪を切るときに眼鏡を外したら穂高くんが『綺麗な目をしてるから見せればいいのに』って言ってくれてコンタクトに変えたんだ」  ……ん? そんなキザなこと言う? イケメンギャルには普通のことなの?  頭を捻っていると、顔を見合わせて文哉と片桐くんが笑う。  なんか空気が甘い気がする。背後に点描が見えるくらい。 「あのさ、片桐くんのこと友達じゃないって言ったのってもしかして……」 「付き合ってるよ。美容室の後に『何でぼくにここまでしてくれるの?』って聞いたら『好きだから』って言ってくれて」 「本当はもっと仲良くなってから言おうと思ってけど、聞かれたら言うしかないじゃん? フラれても諦めるつもりなかったけど」 「そっか、付き合えて良かったね。おめでとう」  これは『急に垢抜けた友達(男)に彼女ができたと思ったら彼氏だった件』とスレ立てするべき?  2人を纏うホワホワした空気に、文哉が幸せそうだからいいか、と口を横に広げる。
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