MMORPG

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MMORPG

 高校から帰るとベッドに寝転がってスマホを取り出す。ゲームアプリを起動した。  僕は『ファンタジーサーガオンライン』というMMORPGにハマっている。MMORPGとは多人数が同時参加するオンラインゲームだ。  新イベントが始まったから、装備を作るための素材を必死に集める。今回のイベント装備は華やかで見た目がいい。絶対に頭、胴、足の全装備を作りたい。  フレンドがログインしたことを知らせるポップが表示された。中学で仲良くなって、高校は別だが今でも付き合いのあるゲーム仲間の山田文哉だ。  すぐにチャットを送る。 『一緒に素材集めないか?』 『同じクラスの子も一緒だけどいい?』  同じクラスにこのゲームができる仲間がいて羨ましい。初対面の相手とは緊張するが、文哉もいるし、文哉の友達なら僕と文哉と同じようなオタクだろうし大丈夫かな? 『いいよ、よろしく』  グループ通話の招待が来て、恐る恐るそこに入る。 「こ、こんにちは。初めまして」 『初めまして、文哉くんと同じクラスの片桐穂高です。めっちゃやりこんでる友達って聞いて、一緒にできるの楽しみです。足を引っ張ったらすみません』  僕はどもってしまったのに、ハキハキと返されて驚く。コミュ力の高いオタクなんているんだ、と。 「大竹祐樹です。よろしくお願いします」  とりあえず名乗れた。緊張する。 『ぼくと穂高くんは新イベントの素材を集めたいんだけど、祐樹もそれ目的?』 『そう! 今回のイベント装備カッコよくて』 『じゃあ狩り場に移動しようか』  僕は剣士、文哉が魔術師、片桐くんが銃士。僕が引き付けている間に、後衛の2人が倒すのが効率のいい戦い方だろう。回復役がいないから、多めに回復アイテムを持っていこう。  必要数が多いけど、ドロップ率は悪くない。ひたすら敵を倒しまくって稼いでいく。  初対面の相手とプレイをして、こんなに楽しめるとは思わなかった。片桐くんは本当にコミュ力の高いオタクだ。奇跡の人だ。
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