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「久しぶりね、クランベール! 今日はお忍びデートだから、気遣い不要よ。気負わずに美味しいご飯とケーキを食べたいだけだからね」
マリアは、初老の店主さんと楽しそうに話をしているわ。
「こちらが、私の学校の先輩のニーナ様よ。今日はふたりで、街に遊びに来たのよ」
「そうでしたか、はじめまして、ニーナ様! 私は、このカフェの店主・クランベールと申します。今日はゆっくりしていってくださいね」
「はじめまして、ニーナと申します」
私は緊張しながら、あいさつした。
「では、2階の窓際の席へどうぞ。景色がよく見えて、人気なんですよ」
店主は、私のことをあえて深く追求しないようにしてくれているみたいね。さすがは、マリアの行きつけのお店。私と皇太子様の婚約破棄問題は、帝国中のうわさになっているから、あえて、目立たない2階の席を用意してくれたんだろうな。
「カチョエペペを2つと、ベリーのタルトをお願いね」
「お飲み物はいかがいたしましょうか?」
「今日は、紅茶の気分ね。ニーナ様はいかがしますか?」
「私も同じものを」
「かしこまりました!」
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