兄妹の会話

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「クランベールは元々、辺境伯領の官僚だったんですよ。貴族階級出身だったのに、しがらみに嫌気がさして、職を辞して、カフェを開いたの」 「すごい経歴ね」 「だから、一応、爵位もあるんですけど、皆に内緒にして生きている変わり者なんですよ」 「もちろん、私のことも気づいていたわよね」 「たぶん、そうだと思います。彼は、いろいろと空気を読んで、配慮してくれるので、このカフェはとても落ち着くんですよ」 「素敵なお店ね。さすが、マリア。センスがあるわ」 「ここのベリータルトは最高なんですよ。クランベールの人脈を駆使して、最高級の素材で作っていますの」 「それは楽しみだわ。私も、タルト大好きだから」  カジュアルなカフェのランチということで、コースではなく、料理が一斉に供される。  カチョエペペって、パスタのことなのね。ショートパスタに、粉チーズと黒コショウを絡めている料理。  それに、セットのオニオンスープがついているわ。  私は、オニオンスープに最初に手を付ける。
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