935人が本棚に入れています
本棚に追加
「皇太子よ。さきほどの、重要な会議を休んで何をしておったのじゃ? 魔獣対策の緊急会議を」
「申し訳ございません。急に体調が悪くなりました。今は大丈夫です」
「……もう少し、将来の皇帝としての覚悟と自覚を持て」
相変わらず、口うるさい父親だ。どうせ、会議だろう? 俺がいなくたって、話が進む。なら、めんどくさいだけじゃないか。
「申し訳ございません。その件も含めて、陛下にお願いしたいことが……」
「なんだ?」
「私を、魔獣対策部隊の指揮官に任命してください! 魔獣の出現は、帝国の安全保障において、もっとも重要な問題です。民も不安になりましょう。そこで、私が皇族を代表して、総大将として赴けば、帝国全体の士気も上がりましょう。不安に沈む辺境伯領の民も勇気づけられるものです!」
最近、失敗続きだったからな。俺はこういう華々しい場所を求めていたんだ。フランツも辺境伯軍では対処できずに、帝国軍本隊に応援を求めているのもいい。最高だよな。
あの自信満々のフランツが、俺に助けを求めている。その事実は、俺のプライドを満たすものだからな。
戦場で大活躍して、俺たちを馬鹿にしていた奴らを見返してやる。
そうすれば、ニーナも俺の持つ本当の価値に気づくだろうな。
あいつらには、俺が将来の皇帝という事実を突きつけてやる。
「しかし、お前は実戦経験が少ないじゃないか。援軍の指揮監督は、ルーゴ将軍に任せるつもりだが……」
「陛下、お言葉ですが、ルーゴ将軍は、すでにご高齢です。私たち、新しい世代が帝国の未来を切り開いていかなくてはいけません!」
最初のコメントを投稿しよう!