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隣にいけば、自分のかっこ悪い部分が露呈する。それでも玲は受け入れてくれると、信じて。一氏は不安そうにタレ目で玲を見つめる。そんな一氏に玲は笑顔で答えた。
「私はおまえがいい」
“おまえじゃなきゃ、ダメなんだ”とそう言ってくれるその笑顔に、一氏の心臓は大きく鳴り響くのだった。
***
アジトでの一氏と玲の距離は少しずつ縮まる。しかし、それでもまだ大きな一歩とはいえないかもしれない。
それでも2人の関係には少しだけ変化が起きていたーーそれは信頼から来るもの。
仲間として成り立つ絆が2人を強く結びつけたのである。そしてこの出来事をきっかけに、一氏はまた一つ自分に自信をつけていく。
常にパニックになり、弱気な自分。玲の隣にいる仲間たちのように強くかっこよくなりたいと願って、尊敬する玲のために、一氏は今日も強くありたいと願うのだった。
「玲さん!僕、頑張ります!」
その強い意志に玲は笑う。
「期待してるぜ」
そう言ってくれる玲の笑顔は誰よりも美しくてーー。
いつかきっと、あなたの隣へ……と一氏は思うのだった。
一氏は思う。玲のために、何ができるのか。王様のように超人でもなければ、騎士のように厳しくもない。かといって魔法使いのように願いを叶えてあげられるかもわからないし、そのうえ紳士でスマートでもない。
それでも自分は決めたのだ。情けなくてもいざって時に玲のピンチに駆けつける強い“番犬”になるのだと。
「玲さん!」
玲の名前を呼んで駆け寄る一氏に、玲は首を傾げる。そしてすぐに表情を明るくした。
「どうした?何かいい事あったのか?」
「はい!僕っ、決めたんです!」
鼻息を荒くして意気込む一氏に、玲が「何を?」と聞く前に彼の方から話し始めた。
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