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「僕はあなたに褒められるような男になってみせます!だからこれからも見守っていてくださいね」
“番犬”として頑張る覚悟を決めた一氏の表情は明るい。そんな一氏の変化に玲もニヤリと笑えば、一氏の足元を指して一言。
「おい、そこ、虫」
「は!?ええ!?どこ!?」
先程までのかっこいい姿はどこへやら。叫びつつ足を上げていて、その光景はいつも通りのパニック中の様子。玲はそんな一氏をケラケラと笑った後、彼の背中をポンッと優しく叩いて一言。
「パニックこそおまえの持ち味なのかもな」
そう言ってまた玲が不敵に笑うと一氏はその笑顔にドキリとしてーー。
「っ……!」
「ん?おい、おい?一氏?」
「も、無理です!」
「なんだよ、またパニックか?」
慌てふためく一氏に玲は大笑いした。
泣き言ばかりの常時パニックの男の子は、そのままの姿を受け入れてくれる御主人の元へ。
いつか、隣に立てるように。
いつか、ふさわしい番犬になれるように。
いつか、その笑顔が自分だけに注がれるように。
いつか、この想いがあなたに届くように。
パニックで叫ぶ中、一氏の願いは今日もまた一つ増えたのである。
Fin
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