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はい、四ヶ所目……。もうね、ここ各部屋ごと呻き声が聞こえるのぉ。ここを通る度、疲れが三割増し……。
「助けてぇ……助けてぇ……」
「苦しいよぉ……苦しいよぉ……」
もう恐ろしい声のオンパレードォォォ!
「あのぉ、通り過ぎちゃダメですかぁ? ダッシュで通り過ぎちゃダメですかぁ?」
「だめよ……一人一人確認しないと」
冷静なれい子さん。
「だって……怖いし……」
「ダメよぉ。まだみんな生きてるんだから……あなたの仕事でしょう?」
──そうですよねぇ、単なる仕事放棄。もう疲れてて、さぼりたいのよぉぉぉ!!! ──
目が霞む。家で恐怖し、職場で恐怖し……私の人生なんなのよぉ……。
「そういえば自縛霊さんとは仲良くしてるのぉ? 今度結婚するんでしょう?」
「はい? 誰とですかぁ……?」
「だって、ご両親に言ったんでしょう? 一生幸せにしますって……」
「違います違います……あれは間違えただけっ」
「嘘よ。でも仲いいんでしょう? ボンちゃんだっけ、ペットとも」
「あいつは勝手に膝の上に乗ってくるんですっっ!!」
れい子さんには何でも話す。こんな嘘みたいな話でも信じてくれるから。こんな優しい先輩を持って私は幸せだ。私が話をするといつもれい子さんはクスッと笑ってくれる。優しいれい子さん。頼れるれい子さん。
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