闇夜に蠢いて

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 はい、最後の五ヶ所目……。ドアを開けると空いてるはずのベッドに座ってシクシク泣いてる可憐な少女……彼女はいつも窓を眺めてる。 「ねぇ、私もうじき死ぬんでしょう?」  私は無言。 「あの葉っぱが落ちたら私は死ぬのよ」  窓から見える木にへばりつく葉っぱを見ながらいつも泣いている。でも私は無言……。 「もうすぐ落ちそうよぉ……でも安心して落ちたらすぐ成仏するから……」  私は無言。 「あぁ……落ちた……とうとう落ちた……」  号泣する少女……。私は溜め息ひとつ。 「あのぉ……あの木、葉っぱが生い茂ってますので……あんた、成仏する気ないでしょぉぉぉが……」 「ばれちゃっったかぁ……まだまだよろしくね……」  振り向く少女。ニタリと笑う。真っ黒な瞳のない目でニタリと笑う。はい、その顔見て私はしばらく気絶。れい子さんはいつものことと五分後にゆすって起こす。 「ほら、起きて!」    これが私の夜勤における日課です。  
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