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哲学の道の近くにある石造りの洋館――家頭邸。
ホームズさんは、邸の扉を全開にした。
「どうぞ、こちらにお願いいたします」
彼が声を掛けたのは、パーテーション(衝立)のレンタル業者と美術品専門の運送業者のスタッフたちだ。
彼らは慣れた丁寧な手つきで、パーテーションと絵画を家頭邸へと運んでいく。
展示室――展覧会会場となる大広間は元々、家頭家のコレクションを展示している特別室だ。今はコレクションを他の部屋へ移していて、がらんと何もない状態だ。床には、目印のテープが貼ってある。
スタッフたちは、それを目印にパーテーションの設営をしていった。
作業は速やかであり、小一時間ほどでスタッフたちは撤収していく。
私たちは彼らに礼を言って、あらためて展示室を見渡した。
何もなかった部屋にパーテーションが設置されている。私の案を利休くんがちゃんとした設計図に起こしてくれたものが、形になったのだ。
まだ、壁には何も掛けられていない状態だというのに、早くもドキドキしていた。
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