encore-5

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 サラッと髪の毛を撫でる感触にフッと瞼が開いてぼんやりする視界の中に先輩がいる。 「……はよ」 「……」  ネクタイを緩めながらそんなセリフ吐く先輩は俳優みたいだ。何かのドラマ?そんな気がしてくるくらい非現実感。 「暇すぎて寝とったん?よぉ寝れた?」 「……」  え?待って、これ……夢じゃないの? 「せんぱい……?」 「ん?」  額から髪を撫で上げていく手があたたかくて優しい。見つめる瞳が優しくて……自惚れじゃないけど愛で溢れてるんだ、そんな目に見つめられて幸せ……って! 「え!私寝てた?!」  がばぁ!と布団から起き上がった私に先輩も驚いている。 「何時?どうしよ、いつのまに……え、先輩いつ帰ってきたと?私気づいたら寝てしもぉてた!」 「別に……ええけど」 「あ!お昼!作って待ってよ思ってたのに!」 「それも別にええけど……なぁ皐月」 「え……」  ジッと見つめる先輩の視線とは……絡み合わない。その先輩の視線の先に目を落としてハッとした。 「ぁ、きゃあ!」  胸の前がはだけていることに今さら気づく。慌てて腕で前を隠したけど手遅れ。先輩の視線はバッチリ胸元にいっていた。 「ちが、これはぁ……」 「なんで隠すん?隠さんでええけどな」  ニコッと微笑まれて赤面。今絶賛羞恥心に襲われ中。 「あの……あの……」 「布団にくるまって寝てる皐月、めっちゃ可愛かった。やっぱええな、皐月が家で待っとるの」  ギシッとベッドに手をかけて囲い込むように体を近づけてくる先輩がいる。まずスーツを脱いでくれ、破壊力がヤバいから。 「あ、せんぱ……」  近づかれてフッと鼻をかすめた匂いに体が反応して、グッと先輩の胸を押し退けるみたいに抑えてしまった。 「え?」 「なんか……先輩から知らん匂い、する」  先輩じゃない、鼻につく匂い……明らかに女がつける甘い花の香り……。 「あー……」  そう言って腕をクンッと嗅ぐ先輩。仕事に行く前に確か言っていた、”臭い”あの言葉の意味がわかったから変な心配をしたわけじゃない。でもどうしたってモヤっとして大人げないけどイラっとしてしまった。 「も、脱いで?」 「え?」 「嫌や……脱いで」  脱いで、と頼みながら私がスーツを脱がしてしまう。ジャケットに手をかけて腕からといて、緩んでいるネクタイもシュルッと外した。シャツのボタンに手をかけたら先輩の手が私の服の中に滑り込んできた。
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