melody-12

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 初めてのセックスはそれで終わり。 「皐月に無理、させられない」  先輩はそう言ってくれたけど、その表情は苦しそうで後悔させた気がした。先輩が無理なんだと、察してしまった。案の定、それから先輩は少し私に距離を取るようになって、私はそれが別れのサインだと思った。決定的な言葉はない、それを聞くのも怖かった。でも開き始めた距離を縮めるのもまた怖くて、私は無意識に先輩を避けて距離を開け続けた。今度は先輩が察知したんだろう、気まずいまま過ぎる時間。気づいたら年が明けて、先輩は大学受験真っ只中。受験の邪魔はしたくない、それは言い訳だったが余計に時間はすれ違って先輩は卒業してしまった。  私たちはすれ違いのままの自然消滅。言い訳も喧嘩もなく、ただ開いた距離を埋められないまま別れてしまった。  そのあと付き合った人は社会人になってから。紹介されて付き合って、大人になった恋の始まり方はこんなものなのかな、ぼんやりそう思いながら始まった付き合い。楽しい時間はもちろんあったけれど、胸が焦がれるような気持ちやドキドキするようなトキメキはない。出会い方の問題?私の問題?相手の問題?答えは見えないまま何度か会っていた。大人の恋はそういうものなのか、その彼とは案外あっさりその時を迎えることになった。くちびるを重ねて触れだされると感じる違和感。私の神経が何かを探すようにそわそわして落ち着かなくて、不安が襲い始めた。違和感が止まらなくて、触れられるほど感じる気持ち、そして芽生えだす……恐怖。  先輩との初めてが蘇って今度は本当に恐怖で体が震えた。当然濡れない、受け入れる身体にならない。相手も久しぶりだったらしい。だからゆっくり進めていこうね、そんな風にして始まったはずなのに次もその次もうまくいかなくて、私の体はより固く閉ざすようになって――言われてしまった。 「なんか小さいからかな……めちゃくちゃやりにくいししんどいわ……合わないかも、皐月の身体って」  セックスがうまくいかない男女に良好な未来があるわけない。当然それが理由で彼氏に振られてしまう。小さくて幼児体型の魅力のない私の身体は男の人を悦ばせることは出来ないんだろう。  相手に無理をさせる、気を使わせる、萎えさせて……嫌われる。  それを認めたら楽になったけど、どうしようもない虚しさに襲われた。それでも変わらない、変えられない。私は、この身体で生きていかないといけない。だったらどうしたらいいのか。  だったら……誰かに愛されることも受け入れてもらえることもない、そう思って生きていくしかないんだと。  人を愛することも愛されることも諦めて生きていくんだって、そう決めて……私は今を生きている。
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