Chapter.2 楽しい時間

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「ええっと……なんだこれ?……これか!この文字はここに持ってきて……」  シャレットに教えてもらったカンペと文字を見比べ、読み解いていく。  ……かなり時間がかかる……。そう思ったオレは後ろを見て、他のみんながまだ調べているのを確認した。  こんなことをしていたら日が暮れる。さっきの時点で夕暮れだったのだから、タイムリミットの夕飯の時間まであまりない……! 「ううう……!さっきのを見てたら本の名前がピンポイントで出てきてたから便利なものだとはわかったけど……!初心者にはキッツいよ!」  そうブツブツ言いながら格闘すること、さらに10分。  やっと目当ての本が見つかった!!!  長い……戦いだった…………。 「『魔法学』……『竜の呪いのやり方』……これだ!」  なんでこんなものがあるんだとは思いつつも、『Export(出力)』の文字をシャレットがやっていたようにそのまま触れた。  文字が光となって浮かび上がり、右手の甲に舞い降りてそのまま消えた。  ……どこどこの何番目の本棚って小さく書いてる。これは図書館内でのみ、さらに見ている時だけ手に刻印されたものが浮かび上がる……らしい。  ほぼ攻撃魔法しか覚えてこなかったオレにとっては、新鮮な魔法だった。  オレは早速書いている通りの場所に行く。そして番号と名前を照らし合わせて素早く目当ての本を探し出すことに成功した。……その前はすっごく時間かかったけど、ノーカンノーカン!………………だめ? 「これだ……」  オレはさっきの椅子に戻って本を開いた。  ……なんかグチャグチャな内容だけど、なんとか読めそうだ。著者は『マグラ・オルテナ』……。 「…………『ダンジョンのボスの魂を呪いで縛りつけ、倒されても昇華されないようにする。元々ダンジョンの重苦しい魔力が固まって生まれた生き物だ。呪い系の術にはかなり適正がある。我ながらちょうどいいものを見つけた。そして、そのときに生まれた怒りや苦しみ、恨みつらみを、まだ存在が確立されていない命に埋め込む。』……『私はこれを自動化することに成功した。これで私が死んだあとも、私を追い出したあの魔王に復讐することができる。お前たちの子孫に破滅を。滅べ、世界。』……」  ──なんて恐ろしいことを…………!  この『マグラ・オルテナ』って人なりの仕返しなのだろうけど、やることが広範囲すぎる。しかもその影響がオレにまで出てるし!ひどい!! 「わっ、とんでもないこと書いてるな、お前が見つけてきたやつ」 「うわっ!?」  数冊抱えてきたグドーが、オレが読んでいた本を覗き見していた!心臓が飛び出そうなほどにはビックリした!! 「おいおい、怖くて震えてるのか?一発目からそんな本だもんな。……ふぅん……。内容からしてビンゴかもな。恐らくそいつがドラゴンソウルの始まりだ。著者は?」 「『マグラ・オルテナ』」 「!?」  一瞬、グドーの目から殺気が漏れた。 「……わかった。そいつの本を探してきてやる」 「いいよ、オレが行く。グドーは座って待ってて」  オレが見つけてきたものだし、グドーの仕事範囲じゃないから、と言おうとした。……が、白くて大きな指で口を押さえられた。 「いや。……俺がケリをつけねぇといけないから……」 「……んむぅ?」
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