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「…………。ここにいるだけで良いと思うけど。少なくとも、今日はここにいた方がいい。副隊長に連れてこられたんだろ?」
「うん」
「急にいなくなったら、副隊長、悲しむからな」
「うん……」
この甘えん坊副隊長はスヤスヤと眠っている。オレは行ってくる、との意味で彼の頭を撫でたあと、部屋を出ようとした。
──ふと、カリビアの茶色い髪についていた青いリボンが目に入る。動いたときにズレて外れたのだろうか。
「これは……」
「それはマジックアイテムだ。ほら、さっきも言ってたじゃないか。『このベッドはマジックアイテムでできている』って」
赤髪の獣人が話しかけてきた。
「普通のリボンじゃダメ?」
「俺たちと副隊長の体の大きさは全然違う。同じメニューをこなすのはキツいだろう。そんな時のために、無理矢理体を動かす機能を含んだマジックアイテムを作ったそうだ。当然俺たちは止めたさ。それでも、どうしてもって言ってやめてくれなかったんだ……」
黒髪の人も話してくれた。
というかすごいエピソードなんだけど……。半分くらい理解できなかった。
「じゃ、じゃあ、リボンをつけた状態で魔法か何かで眠らせたり……」
「面白い。それでも、夢遊病みたいになると思うぞ」
「えぇ……」
常に起きていないといけないほどのハードスケジュールを、他と比べて小さな体でこなさないといけないなんて!絶対にキツい!
うーん、何か手伝えること……手伝えること……!
「お手伝い…………。あっ!!」
「ん?」
「メイドはどうだ!」
「ブッ!!」
オレの言葉に吹き出す軍人たち。
「な、なんで?!おかしいこと言った?!」
「いや、なんでメイドなんだよ!?」
「さっき廊下で見たから」
実在している、ということ以上に強い理由は無い。
「あぁ、そう……。なら、召使いなんてどうだ?ほら、ここ城だし」
黒髪の人が足元をちょいちょいと指差す。
「……でも……オレなんかが、本当にここにいていいのかな……?」
自分で言っておいて、なのだが。だって、さっきまで敵だったんだし……。
「もちろん。正直、目を光らせていないといけない人物だから、目が届く場所にいてもらう方がいいだろ?それに、せっかく成長しようとしてるんだ。止める理由なんて──あるか?」
「い、一理あるのがちょっと腹立つ……」
「なんだと!?せ、せっかくヒトが────」
わなわなと怒る黒髪を、金髪が止めた。
「まぁまぁまぁまぁ!落ち着けって!軍人だろ、子供相手にムキになるなって!」
「お前だけには言われたくないわ!!」
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