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Chapter.2 楽しい時間
「そういえばみんなの名前、聞いてない」
オレは歩きながら黒髪の人に話しかけた。この人が一番まともそうに見えるからだ。
「じゃあ俺からだな。俺はグドー。部屋は……実は違う場所だ。ミゲルだけがさっきの部屋で、他の2人は俺と同じ部屋だ」
「3人揃ってるなら隣で遊べばいいのに」
わざわざカリビアの部屋に集まらなくても……。と思う。カリビアが眠れない理由って、それもありそうなんだけど。
「ははは!よく言われるけど、そうはいかないんだ」
「なんで?」
「騒がしいのが嫌いな奴がいてな。さ、行くぞ」
そう言って本当にスタスタと進んでいくグドー。先頭じゃなくなったオレは、彼の大きすぎる一歩に小走りでついていくことになった。
「ちょっとー!速いよ!あ、オレはシャレットね!」
次に自己紹介をしたのは金髪の人だ。改めて話してみると、人懐っこくて優しい人って感じがする。
「ごめんね。グドーってば、ああ見えて照れ隠しをしてるんだよ。本当は敵だったお前と話せて、嬉しいんだよ」
「え?!」
横に並んでからコソッと言われた言葉に、思わず大きな背中を見てしまう。
無意識なのだろうけど、とても姿勢がいいとしか感想が出ない。
「そうだよ。いつもは強くて頼りになってかっこいいんだけど、普段はあんなだから。あまり敵視しないであげてね!あぁ、僕はミゲルだよ!よろしくね!」
ニコニコと楽しそうに笑ったのは、オレと同じ水色の髪のミゲルって人。どうしてそんなに嬉しそうなのだろうか。
「…………俺はアスターだ。グドーと同じ、近接系」
最後に自己紹介したのは赤い獣人だった。戦闘してなかったから半分忘れていたけど、この人たちは軍人さんなんだ。だから戦闘もするし、ちゃんと日常だってある。
「グドーは両方じゃない?」
「そうか?結局近距離で攻撃するときもあるだろ」
……機密っぽい話、していいのだろうか。
「まーまー!オレたちよりよっぽど強いグドーサマは、いつも最強なんだって!そう言いたいんだろ?な!」
シャレットがわざとらしく振る舞い、グドーを見た。
グドーはというと…………。
「!!!!!」
──走り出した!?!?
「逃げたぞ!!」
「褒めすぎちゃったかな?」
なんと、恥ずかしすぎて逃走してしまった!
というかミゲルがめちゃくちゃ嬉しそうなんだけど!?
「あーらら。追いかけないと」
一番最初にイジり始めたシャレットはというと、呑気に頭の後ろで手を組み、ケラケラと笑っていた。
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