Chapter.2 楽しい時間

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 ──ふと、グドーが足を止める。軍の人たちの部屋まで戻ってきて、探索が続いていたけど……なんかここだけ違う部屋のようだ。 「ここは?」 「子供部屋だ」 「オレは子供じゃないっ!」  まさかここに泊まらせる気じゃないだろうか?! 「わかっている。ここは魔王の子供たちが使っている部屋だ」 「え?こ、こんなとこにあるんだ?」  違うと安心したオレは中を覗く。  カーペットの上には、積み木や絵本などが揃っており、小さな滑り台もあった。何もかもが小さく、本当に子供部屋という感じがした。今は誰もいない。 「『たのしいまほう』『たびするうえきばち』『雷魔法の基本と応用』……。なんか違うの混ざってるんだけど……」 「娘のライル嬢が勤勉なんだ。植木鉢のは命について学ぶためらしい」  シャレットがほらよ、と示す。  栞代わりなのか、葉っぱがいくつも挟まっていた。 「……。こんなもの、オレに見せて何だって言うの?」 「調べものをするって言うんだからさ、一番いい方法を示してるだけだ」 「ええ?………………もしかして……。魔王の娘に聞けって?」  オレがシャレットの方を見る。シャレットの顔には、どんどん笑顔が生まれていった。 「ピィンポォーン!!正解〜!正解したバルディくんにはぁ〜」  ニマニマしたシャレットが近づいてくる。高身長が子供サイズのオレに影を落とす。オレは思わずたじろいだ。 「な、なに……」 「オレたちが、お前の調べものを手伝うっていう景品をあげちゃいまーす!」 「……………………」 「……………………」 「………………は?」  シャレット以外がポカーンと口を開けて固まる。当然オレもだ。  シャレットは人差し指を立てたまま、「あれっ?リアクション無し?」と悲しそうな顔をした。 「…………え?手伝って……くれるの?」  呆然としたまま、どうにか返事をしなきゃ、と頑張って言葉をひねり出す。シャレットは返事が返ってきたのが嬉しかったのか、すぐに言葉を返した。 「当然!まだ同じ釜の飯も食ってないし、一緒に寝たり訓練したりもしてないけどさ、オレたちは友達だろ!友達の手伝いをするのは当然のことだ!な、3人とも!」  シャレットはオレの肩に手を回し、ニコニコと笑った。そしてそのまま残りの3人を見る。3人は顔を見合わせ、シャレットの方を見た。 「……しょうがない。こうなったら折れないもんな。シャレット、お前といたら退屈しないよ」  ……と、グドーが腰に手を当てながら微笑む。 「僕も、妹の頼みを消化したいし。いいよ」 「2人が行くなら……」  ミゲル、アスターも首を縦に振る。ミゲル、妹いたんだ。 「へへっ!やっぱ、持つべきものは友達だよな!」  ニカッ!と笑ったシャレットは、まるで太陽のようだった。
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