Chapter.2 楽しい時間

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「………………ちょっと休憩するか」  シャレットは少し困った顔をして、だんだんと落ち着いてきたオレを椅子に座らせた。便乗してグドーも椅子に座る。足を組んで机に肘をついているようだった。なぜか威厳を感じる……。 「……落ち着いたか?」 「…………うん……」  グドーの琥珀色の瞳に見つめられ、オレはコク、と頷いた。 「はい、お水」 「ありがとう……」  ミゲルが持ってきてくれた水を飲んで、一息つく。オレは水が少し残ったコップを見てから周りを見た。  ──こんなオレを邪険に扱ったり、睨まずにいてくれる人たちは、初めて見た……。 「さ、バルディも落ち着いたことだし、本探しを始めますか!」  手をパン!と叩いたグドーは勢いよく立ち上がる。そしてそのままオレの方に手のひらを差し出した。 「ほら、立て」  何をすればいいのかわからず、手とグドーの顔を見比べていると、どうすればいいのかを教えてくれた。他の人より白くて綺麗な手は、とても戦闘をするような人のものには見えなかった。 「あ、ありがとう……」  オレはグドーの手を掴んで立ち上がった。当然ドラゴンソウルで鱗まみれになっている手ではなく、綺麗な右手でだ。それを見たグドーの目には、少し複雑な色が出ていた。気にしなくていいのに……。
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