Chapter.2 楽しい時間

9/11
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 結局2人で行くことになった。あの蔵書検索コーナーに向かっているところだ。  途中でミゲルの姿を見かけた。……のだけど、周りにたくさん本が浮いていた。ミゲルってたくさんの魔法が使えてすごいなぁ。しかも面白いのばっかだし。それにしても……アレ、全部読むのかな。 「ふむ……。『地理』系のコーナーにもあるようだ。行くぞ」  パパッと地図を操作したグドーのあとをついていく。操作している指の速度に驚いたり、どこに何のボタンがあるのかも理解してるの?すごい!と思っていたら、終わっていた。  しばらく棚をチェックしていると、目的の本を見つけた。『魔界におけるダンジョンについて』──だそうだ。 「ダンジョンか……。そういやあまり見ないな」  グドーが口に手を当てて呟いた。外についてはオレの方がよく知っている。…………のだが……。 「オレも……。話でしか聞いたことないかも」 「ん?お前ってよく洞窟で見かけるって報告があるけど。あれはダンジョンじゃないのか?」 「あれはただの洞窟だよ。ダンジョンとは違う」 「そうなのか……。とりあえず座って読もう」  グドーと一緒に近くの机に向かう。そこではアスターが自分で持ってきた本を読んでいた。椅子の木の枠から飛び出た大きな尻尾がゆっくり動いているのか、ワサワサと音を立てている。モップみたいになってるけど大丈夫なのかな……。 「アスター、何か見つけたか?」 「全然。ドラゴンソウルのドの字も見つけられない」  はぁ、と息を吐いて、赤っぽい紐の栞を挟んだ。元々本に縫い込まれていたもののようだ。 「そうか……。あ、そうだ。その本の他に、いいのを見つけたんだ。もしかするとそれっぽい内容が見つかるかもしれないから、ちょっと一緒に見てくれないか?」 「いいよ。前に置いてる本は退けていいから。……いや、こっちが動く」  アスターがオレたちが座ったところに椅子を寄せて、3人で読むことになった。アスター、グドー、オレの順番に座っている。 「読むぞ。──『ダンジョンとは自分を失ったり、躍起になった魔物たちが、弱者を狩るために作った罠だらけの巣窟である。だが、反対に十分な力を持った者にとっては絶好の狩場でもある。』……違う違う、それは知ってるんだよ」 「なんで読んだの……」  グドーは意外と博識のようだ。 「『ダンジョンは『第二次魔界崩壊』時に生み出された。ダンジョンが消えたのはしばらく経ったあとである。ダンジョンにたくさんの魔物があると知った魔界の者たちはこれ幸いと狩りに狩り尽くし、『ドラゴン』と呼ばれたダンジョン最強であったモンスターをも殺していった。ドラゴンがいなくなるとダンジョンを維持していた魔力が消え、ダンジョンは光となって消える。』」 「グドー、その本はいつ書かれたやつなんだ?」 「んん?えーっと……400年くらい前かな。そんなに前じゃないみたいだ」  グドーは最後のページを見て頷いた。 「オレが発生して300年くらいだから……」 「若者は知らなくて当たり前……ってことかな」  う〜ん……。と3人で唸る。  ……と、そこでミゲルが歩いてきた。 「3人とも、晩ごはんの時間だって」 「あれ?シャレットは?」 「副隊長に呼ばれて行っちゃったよ。僕も本借りてきたからみんなもそれ、借りてっちゃって」 「わかった」  立ち上がるときにさっきの『竜の呪いのやり方』を探すと、グドーが抱えていた。アスターの本と、『魔界におけるダンジョンについて』もだ。 「ありがとう、グドー」 「…………あぁ」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!