Chapter.2 楽しい時間

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 ──────────  ───── 「あ、戻ってきましたよ」 「お前らが本を読むなんて珍しいこともあるんだな」 「へっへ〜ん♪だろぉ〜?」  グドーたちに連れてこられた部屋──食堂では、すっかり目が覚めたカリビアと、その隣にシャレットがいた。  本当に図書館に行っていたのか、しかも“あの”メンバーも引き連れて、とカリビアは感心していた。  ご飯の時間までお世話になるわけにはいかない。元々敵なんだし、魔王軍側も敵に塩を送るわけにもいかないだろう。 「じゃ、じゃあ、オレは外で待ってるから────」 「はい、ダメ〜」  部屋を出ようとしたオレの腕をガッチリとホールドしてきたのはシャレットだった。いつの間に隣に!? 「オレはまだ軍に入ってないし、敵だから……どこかで待ってるよ……」 「それでもちゃんと食べないとダメだ!騙せてると思っただろ?ドラゴンソウルの魔力だけで立ててるような感じじゃねぇか」 「!」  シャレットが透き通る水色の目で見つめてくる。  お見通しだったんだ……。ずっと木の実しか食べてこなかったこと……。 「すぐに追い出さなかったのはそのためでもある。一人で本を探させたら、そのまま帰るかもしれなかったからな。たとえ魔王軍に迷惑をかけていた相手でも、見捨てることは許さない。これは魔王のポリシーでもある」  カリビアも腕を組んで頷いた。こちらは見てくれないけど、本気でオレを引き留めようとしているようだった。 「………………」  それでも……やっぱり、迷惑をかけるわけには……。 「まったく、世話がかかるガキだ!ほら、座れ座れ!」 「うわっ!?」  まごまごしていたらシャレットに背中を押され、ついに椅子に座ってしまった。  立とうとしても、シャレットに肩を押さえられてしまう。笑っているが、その笑顔が怖い……!
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