Chapter.3 模擬戦

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 ……それにしても、どうしてそんな力がオレなんかに宿ってしまっているの?もし乗っ取られれば、カリビアやグドー、シャレットにミゲル、アスターたちを攻撃してしまうかもしれないのに。  それだけは嫌だ。嫌だ。嫌だ……!  だってオルテナによれば、『ドラゴンソウル』は『悪意』そのものなんだろう?オレはみんなを傷つけたくないのに!  もしオレがドラゴン──ダンジョンのボスだったら、半端な力を持った人くらいなら軽くひねり潰すだろう。だってそう書いてあったじゃないか。  でも逆に考えろ。ダンジョンボスを上からひねり潰したのは、『強い人』だ。なら……そんな『強い人』みたいに鍛えれば、『悪意(アクイ)』に耐えられるのでは? 「こうしちゃいられない……!」  オレは本を手に持ち、図書館を飛び出す。さっきすでに借りておいたので問題ない。  この考えを実行するには、カリビアに協力してもらわなければならない。これから大変だって話は聞いていたけど……。話だけなら! 「あ!カリビア!」  ちょうどミーティングが終わったのか、カリビアが出てきていた。周りを見てみる。……が、4人の姿はない。先に出てしまったのだろうか。そういえばシャレットが嫌そうにしていたので、先に出ているって考えはあながち間違っていなさそうだ。 「バルディ!?どこ行ってたんだ?!食堂や部屋じゃなかったのか!?あいつらずっと探してて、ミゲルが魔法を使おうかって話になってたんだぞ!」  オレを見つけるやいなや、カリビアは何とも言えない顔で近付いてきた。ものすごく申し訳ない。 「ごめん……。あとでみんなに謝っておくよ。……でさ、カリビア!」 「なんだ?」  カリビアは持っていた書類を部下に渡してこちらに向き直った。 「もしかすると、ドラゴンソウルが暴走するのを抑えられるかもしれないんだ!」 「え?!……詳しく教えてくれないか」  カリビアの顔はいつになく真剣だ。そりゃそうだ、一番最初に出会ったのはこの人なんだから。 「その前に、あの4人を集めてほしいんだ」 「いいけど。何のために?」 「そりゃあもちろん、実行のために、だよ」
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