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「訓練用の服で来いって……補習ですか?」
めんどくさそうに唸るグドーの後ろにはカリビアに呼んでもらった3人の姿もあった。みんな訓練用の薄着になっている。ミゲルは少し寒そうだ。
ここは魔王城の1階。入るときに見かけた、雨天時の訓練所だ。夜で寒いのでここなのだという。
「……補習に見えるか?」
同じく薄着……ではなく、朝見たゴテゴテの服の、マント無しの状態のカリビアが腕組みをして睨む。自分で考えろってことかな。
それにしても高圧的すぎる。軍人ってこんなものなの?
「いえ……。バルディ関連なのはわかりました」
「よろしい。なら早速始めよう。これから4人は1人ずつバルディと手合わせしてもらう。これは模擬戦だ」
「「え゛え!?」」
4人が同じ反応をする。……当然の反応だ。魔王軍の軍人とはいえ、おそらく名指しで探されていたオレと、タイマンで相手にするんだ。下手したら誰かが死ぬ可能性だって大いにある。
「ふ……副隊長はやらないんですか?」
「やらない」
「なんで!?」
即答だ。
上目遣いとはいえ、上官だ。そんな上官が冗談で返事をしたことに対しても、シャレットは驚いた。……まぁ、彼に関してはいつもこんなリアクションなのかもしれないけど。
それにしても、「やらない」って……。「やらん」とかはわかるけど、意外すぎて気が抜ける……。
「これはバルディのリクエストだ。バルディはお前たちをご所望のようだ」
少し残念そうに言う。
今までの仕事の恨みを全部ぶつけられそうで怖いからカリビアの名前を入れなかったって言ったら本気で殺されそう……。
「へぇ!そうなんすね!やっとちゃんと頼られたよ!」
シャレットがガッツポーズをし、ニコニコしている。ちょっと聖人すぎない?
「まずはアスターからだ。言っちゃ悪いが、異形系だからな」
「はい。問題ないです。手は抜かないぞ、バルディ」
アスターは大きな四角い線が書かれた地面の真ん中に立つ。バトルフィールドとかいうやつなのだろうか。いつもの服に戻ったオレは、マントを床に置き、アスターの前に立った。
「両者、構え!」
カリビアが声を張り上げる。頑張っているのか、怒っているような顔になっている。からかっているのか、シャレットがその頭をポンポンとしている……。
ミゲルの目が「また怒られるのか……」みたいな感じになっていた。
「────はじめ!!」
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