Chapter.1 魔王城へ

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Chapter.1 魔王城へ

 オレはバルディ。ただの『バルディ』。オレには『竜の呪い』がある。人はそれを『ドラゴンソウル』と呼ぶ。しかしオレはそれを『ただの呪い』としか思っていない。理由は簡単。使わないからだ。  使わない、過ぎた力。それはただの『重すぎる責任がある呪い』だ。これを言い換えると、『自分の手に負えないもの』だ。ほら、どうせ使わないだろう?  オレはこの得体の知れない能力の起源や資料について調べることにした。もしかすると知っていくうちに『ドラゴンソウル』を手放すことができるかもしれないからだ。もしダメだったときは…………考えてない。それでも、何か前に進めるかもしれない。  悪魔の人生は長い。その長い人生、ずっと不安で生きていくなんてバカバカしい。 「………………」  完全に形が変わってしまった左手を見る。肘より上までドラゴンのようなワインレッドの鱗に覆われている。手のひらなんて完全にドラゴンだ。傍から見ても、バランスが悪い。 「今度こそ……普通の悪魔に戻れますように」  砂色のマントを翻す。まずはどこに行こうか。  そうだ、図書館なら何かあるかもしれない。図書館は魔王城にあるけど……。あぁ、あの人たちだけは嫌だ。  ──そう、魔王軍!魔王軍とだけは絶ッッッ対に鉢合わせたくない!  あいつらはいつだってそうだ!この能力のせいで力加減ができず、いつも問題を起こす。その問題の中心にいつもオレがいるので、顔見知り状態になっている。そして言われるんだ。  ──「またお前か!!」……と。  そんなオレが魔王城に行くとなれば、『魔王城の何かが破壊されてしまう』と思われても仕方がない。確実に何か言われるだろう。何かをするつもりの無いオレだって、どうなるか少し不安なんだ。……日頃の行いかぁ。
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