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どうしてオレが『ドラゴンソウル』の名前を知っているのかって?
理由は簡単。誰でも『知っている』からだ。
昔話のように地域で語り継がれ、覚えられ続けている。発生したての悪魔も、魔界の一番端っこにいる悪魔だって知っている力だ。ま、話してくれる人が周りにいなかったら、さすがに知らないだろうけど。
一時、『ドラゴンソウル』の被害者の数がドンと増えた時期があったそうだ。その数は、その『ドラゴン』と呼ばれる魔物が狩られた数と一致する。そのあともポツポツと『ドラゴンソウル』の悪魔が誕生しているので、忘れたくても忘れられない。良くないことだ。
「……魔王城まで飛ぶか」
この世界には飛べる者と飛べない者がいる。オレは飛べるのだが、ペンギンのように見かけだけの翼の悪魔もいる。
魔力で浮き上がる者もいるが、人間ということを捨てたくなくて歩く悪魔もいる。
オレは純粋な悪魔として生まれたから、問題なく飛ぶけどね。……む、何だよその目は。
「いつ見ても森だらけだ……」
水源と呼ばれるものはこの魔界には少ない。イリスの川と泉くらいだろうか。あとは海だけだ。さすがに『海』などという危険地帯に好き好んで行く奴はどうかしてる。
「………………」
しばらく飛んで、眼下に魔王城が見えるところまで来た。空中で停止し、背中から生えた赤黒いドラゴンの翼が一度バサッ!と音を立てる。
「──!!」
オレは殺気を感じ、体に力を込めた!
「『武装乱舞・穿』!!」
突然、ブン!と風を切る音がした。キラリと光るものがこちらに飛んでくる。
──槍だ!槍がとんでもない速度で飛んできている!
……と、大袈裟に考えてみるものの、余裕で行動の判断をしたオレは左へと避けた。槍はそのまま後ろを飛んでいく。
「……『魔王軍副隊長』……『カリビア・プルト』……。こんなもので仕留められると思った?」
攻撃からして『カリビア・プルト』だろう。情報通りだ。
「止まれ、『ドラゴンソウル保持者』──『バルディ』!」
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