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初めて入った魔王城は、とても赤くてキレイだった。
大きな大きなワインレッドのカーペット。オレの鱗の腕みたいにボコボコじゃなくて、とても平らだった。
オレみたいなのが良いのか?と思いながら、恐る恐る足を踏み入れる。
──おお……沈む……。
少しして、遅いと心配したのか、カリビアが振り返った。
「ふふん。カーペットとその手と翼、同じ色でまるで保護色だな。さすが爬虫類」
「うるさい」
ハハハ!と笑うカリビアから目を逸らし、城の中を見る。まず爬虫類じゃなくて、お前と同じ悪魔だっての!
「……でかい柱だな……」
体の横幅1.5倍はありそうだ。焦げ茶色の大きな柱が至るところにある。
城に入って左の方は赤くなく、どちらかというとベージュっぽかった。藁で作った人のサイズの人形が並んでいるところを見るに、雨の日の魔王軍の訓練所のようなものだろうと思った。
「おーい、こっちだ!」
カリビアは中央奥にある階段の途中で再び振り返り、手を振っている。オレは小走りで彼の後をついていった。
「………………遅くなってごめん」
「お前、報告で聞いてたのと全然違うな」
「報告が誇張しすぎなんだ!」
「はは、そうかもな!」
カリビアは口を開いて笑った。
……待って、今の言葉はどういう意味?やっぱりオレ、ナメられてる?確かに話し方はちょっと威厳を出そうとして頑張ってるけども!
「……お前、変わってるな」
「お前もな」
ふ、と目を細めたカリビアの目を見る。
……ん?なんか、変な魔力が……いや、気のせいだろう。
────気のせい……だよな?
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