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「図書館はどこにあるんだ?」
「4階だ。1階はホールと訓練所。2階や3階は客室、軍の人たちの寝室、食堂。4階は図書館や会議室、謁見の間。5階は魔王の部屋だ」
「ふぅん……」
「な、なんだよ」
せっかく教えたのに……という顔をされた。
「なんか……思ったより普通だなって」
「普通って?」
「だってさ、オレが思ってた魔王城って、よくわからないトラップが張り巡らされてたり、毒の沼が設置されてたり、針地獄があったりってイメージだったのに」
オレの言葉に、右隣を歩いていたカリビアは目を丸くした。
「あははっ!お前、どこの世界の人だよ!まぁ確かに最近は変な異変とか、違う世界からやって来た奴だとか、そういうのをいくつか見てきたけどさ、お前もそういう奴らに似てるよ」
カリビアの目に、保護者のような色が浮かぶ。
「お、オレはずっとここで住んでいたぞ!ただ……『魔界』のイメージと違ってて……。こんなに平和そうな場所は初めて見た」
「バルディ……」
カリビアは足を止め、俺の目を見た。
そんなに見られると緊張する。試されているのか?変なことをしたら、オレ、死ぬのか?
──ただ、この先迷惑をかけないようにと、協力しようとしているだけなのに。どうして?
そう思い、目に涙が浮かんだ。
………………しかし、そういうのではなかったようだ。
「……よし!こっちに来い」
「えっ!?」
カリビアは、オレのドラゴンソウルじゃない方の手──右手を掴み、走り出した!廊下の端で箒を持って掃除しているメイドの悪魔が驚いて箒を振り回す。
「はーしーるーなー!!」
「すまない!急いでるんだ!」
「もう!」
「すっ、すいませんっ」
オレはもつれそうな足を必死に動かし、メイドの方を見て軽く頭を下げた。
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