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「ああー!もう!うるせぇ!!バルディ、お前用に軍の服を用意する!まずは形からだ!おい、予備のものはあるか?」
「あ、はい。えーっと、サイズは……見たところSサイズだな。行ってきまーす!」
トランプで遊んでいた人のうち1人……金髪の人が小走りで部屋を出て、オレの横を通り過ぎる。残されたのは今トランプを片付けている背の低い赤と水色の2人と、攻撃してこようとした好戦的な1人。そしてカリビアとオレだ。
「ふぅ…………。良い機会だ。少し休憩しよう」
カリビアは誰かのベッドに勝手に座った。カリビアは軍人と言うには細く、トランプで遊んでいた4人と比べるとまだまだ子供のように見える。
「そういえばバルディ、図書館で何を調べようとしてたんだ?」
「そうだ、言おうと思ってたんだった」
オレは自然な動きでカリビアの前に移動する。どうせこのあと部屋に入れられるんだ、今入っちゃえ。
部屋の中は二段ベッドが大半を占めており、ドアからまっすぐ進んだところには机が2つ並んで、その上の方には白くてシンプルな壁掛け時計があった。トランプを置いていたのはこの机を移動したものだったようだ。……今ちょうど壁に寄せられたところだ。
オレはそんな机をチラ、と見たあと、カリビアの目を見た。
「オレは──オレの力について調べようと思ってる」
「お前の力といえば……『ドラゴンソウル』か」
他の3人が表情を固くした。やはりこれでも警戒されている。
「うん。『ドラゴンソウル』についての理解が深まれば、力の制御とかもできるかもしれない。そうなれば、魔王軍の仕事を減らすことができる。……そうでしょ?」
「!!」
カリビアの目が見開かれる。オレの口から魔王軍を労るような言葉が出るとは思っていなかったのだろう。
「バルディ……。ははっ、バルディ!」
笑ったかと思った次の瞬間────腰に手を回され、カリビアが背中からベッドにダイブするのに巻き込まれた!
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